地球の温暖化は、海水温度や水位の上昇、勢力の強い竜巻にハリケーン、台風などの異常気象、魚群の移動によって、捕れなくなった魚、干ばつなどで収穫できなくなった農産物など、様々なところで、確実に生活に影響が出てきています。今年の日本の冬の寒波や大雪は、北極海の氷が溶けて海水が温かくなり、シベリアの寒気が押し下げられたためと聞きました。生息している北極グマは生活の住処が減少して絶滅の危機に直面しているようです。
気温の上昇と春の植物の開花
米国東部で行われた150年間の観測上で記録的な気温の暖かさとなった2010年と2012年に、驚くほど春の開花時期が早くなっていることが、ハーバード大学(Harvard University)、ボストン大学(Boston University)、ウィスコンシン大学(University of Wisconsin)の共同研究でわかりました。
「私達は、データーを調査していた時、どれほど開花が早く起きているかということに驚かされました」「衝撃的ですよ。」とハーバード大学(Harvard University)生物体と進化生物学のCharles Davis博士は述べています。
「今は、最初に観察し始めた時より、春咲きの植物が平均して3週間以上も早く開花しているのが分かっています。そしていくつかの個体は、6週間以上も早く開花しています」「これは春のドラティックな訪れです。米国東部の記録史上、飛び抜けて早い開花であることがわかります」とも博士は発言しています。
春の早い訪れを説明する時、Davis博士のチームは地球の気候変動よって生み出されている温暖化(気温の上昇)を指摘しています。1800年代の中頃から今日まで、マサチューセッツ州とウィンスコンシン州において集められたデーターを使って、最も暖かい2年を記録上示すと-2010年と2012年-その年は記録破りの早咲きでした。
「気温と開花時期の過去のこれまでの傾向について分かっていることを考えると、『私たちが予想している範囲内で現在の秋咲きの花の期日が本当はどうなのか』ということが疑問です。そして、それらは現実に現れてきています」「春の植物の多くは限界迄には達してはいないと思います。より早く咲こうとしているだけです」
「研究者達は感じていますよ。いくつかの植物は、気温の上昇で本来のペースを保ち続けることが出来なくなっているか、そうでなくても、すぐにそうなるだろうと。例えば、冬の凍りつくような条件が必要な植物に、もはや出会えないかもしれません。どういうことかというと、本来春の開花のために必要な寒い期間を十分に得ていないかもしれないからです」「私達が調査している種には、まだ訪れてはいませんが」
「限界に達している植物に起こる今後の結果が心配です。控えめに言ってもね」
とDavis博士は説明しています。(訳:tori3tori3)
(Harvard University 16 January 2013)
2つの「途方もなくユニークな」植物の観察記録
この研究を運営しているDavis博士のグループは、2つの『途方もなくユニークな』記録データーに信頼をおきました。
アメリカで環境保護運動の先駆者と評され、当時、既に「ロハス(Lifestyle of Health and Sustainability)」を提唱していたヘンリー・デイヴィッド・ソロー(Henry Davis Thoreau)<代表作『WALDEN or LIFE IN THE WOOD-森の生活』>が19世紀の半ばに米国マサチューセッツ州コンコード(Concord) で最初に始めた観察記録です。「Thoreauは約10年の間コンコードの全域で花の開花時期を観察し続けました。彼がこの地域の季節の移り変わりを記録した本を書く準備をしていたのかもしれないと思っています」とDavis博士は述べています。
Thoreauの足跡を受け継いで、1900年代初めに植物学者達は、10年をはるかに上回る同様のデーターを収集しています。ごく最近、ボストン大学の研究者達が、2005年以来この取り組みを続けています。
二つ目のデーターの記録は、環境保護の先駆者でウイスコンシン大学の教授アルド・レオポルド(Aldo Leopold)によって、中央部ウイスコンシンで、1930年代の中頃に始められました。1970年代に他の研究者達が開花の追加研究をしました。
「驚異的な発見は、ウイスコンシン州とマサチュセッツ州で春の訪れが早まっているという似たパターンがあるとわかったことです。アメリカ東部では、より大きな現象が起こっています」
「これらの研究が、気候変動の潜在的な重要性の具体例として役立つことを期待しています」「気候変動の問題は、余りにも膨大です。みんなが無視することを危惧しています。実際に起きていることに注意を払うべきだと思います」
とDavis博士は述べました。(訳:tori3tori3)
(Harvard University 16 January 2013)
「平均すると、ThoreauがConcordを研究していた時より気温が約3度(摂氏)暖かくなっています」「私達は気温変動や未来における気温の上昇について話し合う時、それが意味していることを理解するのは難しいかもしれません」「私達人間は、これらの変化を短期間のうちにまあまあ上手にのりきれるかもしれません。しかし、多くの木々など植物の生命体は同じようにうまく乗り切れる可能性はなさそうです」と彼は付け加えています。
マサチューセッツ州コンコードの森にあるウォールデン湖のほとりで、「森の生活」の著者ヘンリー・D・ソローは1845年の夏から2年2ヶ月の間、シンプルでナチュラルな生活を手造りの家で過ごしました。「宝石のような鳥」「氷の下で泳ぐ小ガマスは、黄金とエメラルドの魚」「ウォールデン湖はぼくの美術館」と表現するような森の中での自然との暮らしを思慮深く、自由な発想で正確に書き綴られています。現代社会の閉塞感やなかなか捨てきれない物欲、日々の暮らしで得られるはずの楽しみなど、『賢く生きるためには、生活をこんな考え方でとらえられれば良いのだろうか』と教えられます。