オキシトシン(oxytocin)は哺乳類のみが持っている「幸せホルモン」「癒やしのホルモン」と言われています。出産して母親になり母乳を与えると人と同じように乳牛も「幸せホルモンに満たされるのだ」と地域支援型農業(Community Supported Agriculture)CSAの農場をパートナーと立ち上げた「食べることも愛することも耕すことから始まる」 (クリスティン・キンボール著)の本を読んでほんわかとした暖かい気持ちになりました。
二頭の子牛を産み三頭目を妊娠中の愛らしいクリクリした目のジャージー種の雌牛、デリアの乳搾りの様子を、
初めて乳搾りをしたときに感じたのは、なんともいえない恥ずかしさだった。「乳牛の飼い方」を読んで手順は頭に入っていたものの、デリアの後肢のあいだに隠れた慎ましやかな部分、革細工を思わせるあの細長い乳首を、ほんとうに触っていいの?泌乳には何種類かのホルモンが関係しているが、なかでもオキシトシンは授乳時に人間の母親の脳内で分泌されるホルモンと同じで、それゆえ母親はうっとりと母性愛に満ちた顔になる。わたしがお湯で乳房を洗ったときに、デリアがふりむいて見せた眼差しもいっしょだった。
と書いています。
(「食べることも愛することも耕すことから始まる-脱ニューヨーカーのとんでもなく汚くて、ありえないほど美味しい生活」クリスティン・キンボール 小梨直訳 河出書房新社)
テンポの良い文章で書かれている新しいライフスタイル(耕し、農を営み、食べること)は、とても自分自身では出来ないと思えることばかりだけれど、「こんなところから購入したい」と思ってしまいます。ルーツは日本で30年前に始まった生産者と消費者の「産消提携」だとか。距離的にも欧米より身近なところでまとまることができそうなのに、なぜ良いと思えるシステムが日本では育たないのでしょう。姿形の立派さよりも、美味しく安心して食べられる食材を入手できるような小さな農場の集団が少しづつ増えてくれれば良いですね。
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