認知症予防に
世界的に高齢化が進んでいるが、寿命がのびてきているからか、生活習慣が変わってきているからか、認知症なる病気と診断される人たちが増えてきている。サンフランシスコもその例外ではない。
前回の国勢調査の結果からいくと、サンフランシスコは65歳以上の人口が14.6%と、アメリカ国内のなかで一番高い比率の市となっているらしい。そのあとフィラデルフィア12.7%、ニューヨーク11.9%と続く。
気候のよさ、健康意識の高さ、高齢者受け入れ施設など、きっとそれにはさまざまな要因があるだろうが、この結果には少々驚いてしまう。とにかく、そんなサンフランシスコだからか、高齢者のなかでもアルツハイマー型認知症の問題は大きい。
市内には脳を鍛えると称する施設(ブレイン・ジム)がある。高齢者を対象に簡単な計算や記憶力を試したりするコンピュータソフトやビデオゲームをしながら、脳を刺激して鍛えるさまざまなカリキュラムを組んでいるらしい。
UCサンフランシスコやUCLAなどの大学でも、ブレインフィットネスの研究が続けられているようだ。ストレスは脳の健康度に関与していると考えられているようだが、ストレスコントロールの仕方を学んだりすることに加えて、考える練習を繰り返すことは、数字処理や推理力、言語能力を伸ばすことになるとか。
だから、こんなブレイン・ジムなるものが必要とされ、誕生することになるのだろうか。利用者は普通のジムに通うように、月額料金を納めて施設を利用するといった具合だが、脳梗塞や脳出血などの病気が発症した人たちの脳リハビリとしてだけでなく、健康な人たちの利用が増えているらしい。社会がどんどん高齢化していくなかで、自立して生きていくために、認知症にならないように努力をしていくことが大切だと、みんなが認識してきている証拠なのかもしれない。
誰でも歳をとれば、少々物忘れをし易くなってしまうし、残念ながら記憶力も若いときほどはよくなくなってしまう。でも、だからといって諦めないで、ストレスをうまく解消させる手段をみつけたり、ストレスに負けない精神を築き上げることにあわせて、常に頭を使い続けたほうがよさそうだ。
そして、いろいろなことに興味をもって、やってみようと努力をしてみよう。小さなころ、何に対してもいだいていた好奇心をよみがえらせよう。そんなふうにして、脳を刺激していけば、歳をとっても神経細胞は成長し続けるらしいから。
寿命が延びている。単に長く生きるというのではなく、やはり、体も心も元気で長生きしたい。うまく加齢とつきあっていきたい。ブレインフィットネス! 頭の運動を忘れず、いつも刺激を与え続け、はつらつとした楽しいシニア・エイジを迎えたい。