レインボーフラッグ

多くの観光客を魅了

ダウンタウンから西に向かって走るマーケット通りとカストロ通りとが交わるところには、同性愛者のシンボル、レインボー色をした旗が高くなびいている。

そのあたりカストロ地区が今観光スポットのひとつになってきている。ゴールデンゲートブリッジをはじめ、市内を一望できる高く丘になったツインピークスが近くにあることもあって、そこで市内を眺めたあと、観光客の一行がカストロ地区に立ち寄っていくという。

数年前には素通りをしていたこの場所が、カラフルな色を放つ地区として多くの観光客を魅了するようになってきている。
待ち合わせの場所にやってきた相手に軽く挨拶のキスをしたり、手をつないだり肩をだいて歩いているカップル。そんなシーンはどこの街でもみかける。ところが、同性同士のカップルがそれをしているとなると、しかも、ひとつやふたつではなく、あちこちでそんなシーンが重なり合っているとすれば、どこか風景が変ってくる。

「僕たち、私たちは見世物じゃない」。そんな声がこの地区に住む同性愛者たちや、同類者をもとめて集まってくる同性愛者たちから聞こえてきそうだ。でも、通りに並ぶショップやバー、カフェなどはあらたなビジネスにつながっているとして、お金を落としていく観光客らを歓迎している。

カストロに立ち寄っていく観光バスをみると、ツアーか、グループ名かなにかだろうが中国語のサインが掲げてあることが多い。この地区を観光名所(?)のひとつにしているようだ。
あれこれと規制が多いと聞く中国からやってくる人たちの目に、このカストロ地区はいったいどんな風に映るのだろうか。そしてどんな思い出を胸にやき付けて帰っていくのだろうか。

同性愛者の権利を強く主張し続けるサンフランシスコ市長ガビン・ニュースンをはじめ、この街は同性愛者を暖かく見守り、その人たちの側にたって考える気質がある。この街に同性愛者たちがどんどん集まってくる理由でもある。そして、市内でもそんな人たちが集まるカストロ地区がその人口を増やしていくにしたがって、地区がカラフルに染まっていく。だから、ここが国内だけでなく海外からやってくる人たちにとって立ち寄ってみたいスポットになってきているようだ。

観光というと響きがよくないけれど、人に対する嗜好がたまたま違うという人たちに身近に接してみて、違うかたちがあることを理解する機会になればいいことかもしれない。

今年も10月31日、恒例のハロウィーンパーティがカストロ地区で開かれる。同性愛者たちだけでなく多くの人たちがさまざまに着飾って集まり、変装した人・ものになりきって長い夜を楽しむことになる。
参加者だけでなく観光客の目をも楽しませてくれるに違いない。

(2008/10)
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