衛生観念の教育問題
豚インフルエンザのおかげで、4月にはいってからニュース、ラジオやウエブサイトで手洗いを随分と奨励した。
なにか子供じみた奨励のような気がしなくもないが、率先して手を洗うようにと真剣に流していた。そんなことは家庭や幼稚園、小学校でしっかりと徹底されたような記憶があるけれど、個人的な経験なのだろうか。
かなり前のことだけれど、こんな数字が発表された。サンフランシスコ空港をはじめ、ニューヨーク空港、ダラス空港、マイアミ空港、シカゴ空港といったアメリカ国内にある主要空港でおこなった調査によると、旅行者のうち30%の人たちがトイレを使用したあと手を洗わないという数字が出たとか。本当だろうかと耳を疑ってしまったことを覚えている。
比較として調査されたカナダのトロント空港ではほとんどの空港利用者が手洗いを実践していたという。これは国民性か、それとも衛生観念の教育問題だろうかと考えてしまった。残念ながら日本の数字は比較されなかった。
ところで、同調査結果によるとサンフランシスコ空港利用者のうち手洗いをしない女性は40%にものぼるとのこと。ほかの空港に比べて飛びぬけて悪い結果となっていた。この数字がすぐさまサンフランシスコ市民のうちの女性を示しているわけではないけれど、何か汚名を着せられたような気がしてならない。
四月にはじまって豚インフルエンザが世界中で注目された。サンフランシスコベイエリアでも、メキシコ旅行から帰ってきて感染が確認された子供の通う学校が次々と臨時休校になった。
幸いにもメキシコ以外で確認されたケースはどれも重症ケースではなかったので、臨時休校の必要性はないと訂正され、すぐに騒ぎも薄れ学校も平常にもどった。そして、ひと月もしないうちにニュースから流れる切迫した雰囲気はどんどん薄れていった。
豚インフルエンザが蔓延するかもしれないという緊張感が消えてしまった今、手洗いの習慣をまた忘れてしまうのだろうか。鳥インフルエンザが流行った際にも手洗いの重要性があげられたが、手洗いやうがいを徹底する、こんな基本的な習慣で世界を脅かす病気の蔓延を防いだり、最小限に食い止めることができるなら簡単なことではないだろうか。
それになにも重症なものに限らず、普通の風邪などの感染症だって予防になるのだから、毎日の手洗いやうがいの重要性をあらためて認識したいものだ。そして、重症なインフルエンザの蔓延がある無いにかかわらず、しっかりと実行していきたい。
早々に世界中でこのインフルエンザが下火になってくれることを願う。