流行のファッション

どこかでみたことがある

歴史は繰り返す。誰もが賛同するように、過去に起こったことは同じようにしてそのあとの時代にも繰り返されるということだ。

ヘアースタイル、スカートの長さ、パンツの流行、靴のヒールの高さなど、ファッションの世界だってそうだ。ショップには茶色や黄褐色、グレーや黒を基調にその色にあわせたトーンがひろがる。コーデュロイのパンツ。大きくてルーズなオフタートルネックのセーター。フェミニンなラインを強調しフリルをあしらった襟。からだの線をくっきりとさせるセーターやシャツ。トップを大きく見せる長めのカーディガン。足のラインにそってフィットしたスキニータイプやフレアのきいたジーンズ。

どこかでみたことがある。昔流行っていたような。
そんな気分になるのは何もひとりやふたりではないだろう。今風にアレンジされ、もちろん古臭い感じはないけれど、しばらく前に流行ったデザインがもう一度流行っているのだと思うと何か抵抗感があるような。
若かったころに羽織った似たようなデザインのシャツやパンツを身に着けて同じように見えないのが腹立たしいのか、それとも時間の流れによって同じような服がからだにフィットしなくなったというジレンマか、または昔に返れないことが単にシャクなのか。

毎日の生活のなかで着飾ることがとても重要なことで、ショッピングに行くことが楽しくて、月に何度もウインドウショッピングをしたりデパートや専門店に足を運んだ。季節の変わり目には特に。
ファッションに鋭く、街を歩く人たちや職場の同僚、先輩たちの服装やヘアースタイル、靴などに目を凝らしたものだ。それが時間が経っていくにつれて、ウインドウショッピングの回数が減り買い物の機会が減っていった。そしてのちには、なにかの必要に駆られて、時間をなんとか作って出かけるだけになったりして。時間の流れというのは面白い。取り巻かれている時間のスピードや時間の中身が変わっていくのだから。

時間の流れとともに繰り返すファッションを明るく受け止めてみるのも粋かもしれない。どこかでみたことのあるファッションが再びやってくるのをきっかけに、ときどきメールでしか連絡を取らなくなったり、しばらく会っていない友達に会ってみる機会を作ってみたらどうだろう。時間がスリップして、同じ時間を共有したものどうし楽しい時間が過ごせるような。

今全盛期のこのファッションをエンジョイしているティーンエージャーが、就職をし家族をもち自分の生活の形を築き始めたころ、同じようにファッションが繰り返され、懐かしいと感じるときがやってくるのだろうか。
不思議な気分とともに、ほほえましいような気分になってくる。

(2011/11)
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