パシフィック・ベル・パーク

今年のミスター・シンジョーの活躍は

柄のついた網を片手に、何艘もの小さなボートが湾に繰り出す。球場から飛び出してくるホームランボールをキャッチするのが目的だ。サウス・マーケットにあるパシフィック・ベル・パーク近くのサンフランシスコ湾でのシーン。日本でもこの様子をどこかのテレビで流していた。観た人がいるだろうか。

今まで、球場から飛び出たホームランは数え切れず。野球ファンにとって、キャッチしたボールは、ちょっとした宝物。ましてや、有名な選手のホームランボールや特別に記念となったホームランのボールとなれば、生涯に残る貴重な遺産(?)かも。ジャイアンツに席を置く、バリー・ボンヅは、昨年、73本ものホームランを打って、ホームラン記録をつくった。ファンは、この記念となる彼のホームランボールが球場外に飛び出てくるかもしれないとばかりに、ベイに沢山のボートを浮かべた。

サンフランシスコ・ジャイアンツのホームグラウンド"パシフィック・ベル・パーク"は、1997年の12月に工事が開始され、2000年3月31日にオープン。2年以上の歳月をかけて、総額工事費2.55億ドル(約330億円)で完成された。広さは13エーカーもあり、4万1千人以上を収容する。初戦は、2000年4月11日、対ロスアンジェルス・ドジャーズ戦。

この球場がオープンされるまで、長い間、サンフランシスコ・ジャイアンツは、アメリカンフットボールチーム"49ers"とキャンドルスティックにあるスタジアムを共有していた。市の南部に位置するキャンドルスティックはサンフランシスコ湾に突き出したように座っていて、市内の中でも最も気温が低く寒い場所。強い風と低気温のために、年中、分厚いセーターやジャケットがなければ、とても観戦などしていられない。

それに反して、新しくオープンされたパシフィック・ベル・パークは市内でも最も日当たりが良く暖かい場所のひとつに置かれている。昨年、イチローの名前がスポーツニュースを飾らない日はなかった。そして、MVPを獲得した。日本にもこんなにすばらしい野球選手がいるんだと、アメリカで披露された年だった。

ミスター・シンジョーがサンフランシスコ・ジャイアンツに移籍した。彼の日本での知名度を知る野球関係者や市の観光局は、これを機会にこの球場を訪れる日本人観光客やアメリカ在住の日本人が増えると予想している。背番号5番の彼のユニフォームの売れ行きも期待されている。このホームグラウンド、パシフィック・ベル・パークでの初戦は今年4月5日に予定されている。ミスター・シンジョーの活躍を期待したい。

(2002/03)
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