過度のストレスと過剰な物欲とのあいだに、強い関係
昨年(2003年)のいつだったか、テレビのニュースでこんな女性が紹介された。サンフランシスコ市内のとあるアパートに住んでいた彼女は、リポーターを部屋に招いてクローゼットを開けて中の様子を見せた。そこには溢れんばかりの洋服が重なり合って掛けてあり、足元には何十足もの靴が並んでいた。リポーターがその洋服や靴の数に驚くと、彼女はカメラに向かって「破産してお金がないんです。でも、買ってしまうんです。止められないんです」と笑って答えた。
メディカルリサーチの結果によれば、過度のストレスと過剰な物欲とのあいだに、強い関係があるという。
考えてみると、職場で何か気に入らないことが起こったり、うまく事が運ばなかったり、つき合っている彼と喧嘩をしたりすると、そんな嫌な気持ちを紛らしたり気分転換をするために、ついデパートに足を向けたりしないだろうか。そんな経験はないだろうか。そこで、素適な洋服やバックを見つけると買ってしまう。
ときにはかなり高額なもの、ソファーやベッドを買ったり、コンピューターを買い換えたり。欲しいと思うもの、素適なものが手に入ったという満足感で、むしゃくしゃしている気持ちが癒されるというわけだ。単純な心理かもしれない。でも、自分の財布の中身も確認することなく、その快楽だけを追求するようになったら病的といえる。
第一、それでは社会的にやっていけない。テレビで紹介された彼女は、まさにそんな例といえる。彼女のような人は決して特別な人ではない。市内でも同じ問題を抱える人たちがアドバイスやヘルプを求めて、メンタルヘルス・インスティトュートを訪れるという。
昨今の生活はストレスだらけなのだから、程度の差こそあれ、似たような人はどこにでもゴロゴロしているのかもしれない。
警告として、ニュースでそんな彼女を紹介したに違いない。自分の欲求と経済力とのバランスをうまく保てなくなったら危険信号。そんな兆候がないか、自分を鏡に映してみてほしいという提案だ。現在の生活の中でストレスなく生活をすることは不可能だ。
ショッピングに出かけて、ストレスをうまく解消できるなら素晴らしい。ウインドウショッピングだけにとどめておくとか、財布と相談をしながら、買い物が単純に気晴らしになる程度におさめておくのが理想的だろう。
春物のジャケットと明るい色のスカーフを買って・・・、部屋の中は様々な衣類や靴、バッグでいっぱい。デパートやお店に出向いては、絶対に必要というわけでもないのに・・・、つい何かを買ってしまう。あなた、そんな兆候はありませんか。