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米国のなかで地震地

6月12日から19日の8日間の間に、カリフォルニア州では、震源地マグニチュード4.9から7.2というそこそこに大きな地震が5回起こっている。
二回はロスアンジェルス近辺、残りの三回は北カリフォルニアの近海で、うち縦揺れの地震の際にはサンフランシスコにも津波警報が出た。体に感じないような小さな地震は常時起こっているが、このように連続して一定の大きさ以上の地震が襲うのは久しぶりのことだ。

米国のなかで地震地として知られるここカリフォルニアでは、近年いくつかの地震が惨事を招いている。
サンフランシスコに大きな被害を与えた地震は、1989年10月17日、午後5時4分に起こった(LOMA PRIETA断層地震:震源地マグニチュード6.9)。激しい揺れによって市内マリーナ地区では家々が損壊し火災が発生、また、市南東部に位置する球場キャンドル・スティックで行われていた野球中継は、揺れの大きさに狼狽し、逃げ惑う観客やプレーヤーの姿をTVに大きく映し出したという。

サンフランシスコとオークランド市を結ぶベイ・ブリッジは一部が陥没して、走行中の車が鼻から突っ込んでしまった。オークランド市では上りと下りが二層になって走るハイウエイ880で、上層の道路が崩れ落ちたために下層を走っていた車たちが押しつぶされ、多くの犠牲者が生まれた。
さらに1994年1月17日に起こったロスアンジェルス地震(San Andreas断層地震:震源地マグニチュード6.7)も記憶に新しいところだ。

このようにして、実際に体験した大きな揺れに対する恐れや、生々しく脳裏に焼き付いて残っている惨事の映像が、この連続して発生した地震によって今蘇り、悲惨な「地震」がまた起こるかもしれないという恐怖に襲われている。
断層があちこちを走っているサンフランシスコやロスアンジェルス地方をカバーするニュースやウエブサイトでは、急遽、地震というトピックを取り上げ、地震の際の非常事態に備えて、各家庭や職場で備えておくべきものや、地震発生時にするべきことなど、情報の提供をはじめた。

地震は自然災害。心配をしても心配をしなくても、やって来るときにはやって来る。
考え過ぎて精神的に疲れ果ててしまうのも健康的ではないが、「備えあれば憂いなし」。損傷などを中心に手当てをする材料を入れた救急箱、水、保存のきく食物、衣類や毛布、ラジオや電池など、地震が起こって一時的に交通が遮断されたり、電気やガスが止まった場合に役立つ。

地震時の心構えを確認し、日頃からこんなちょっとした準備をしておくだけで、被害に適切に対処して、その後の態勢を早急に立てなおすことができるのかもしれない。

今回、連続して起こった地震がより大きな地震に発展しないことを祈るばかりだ。

(2005/06)
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