サンフランシスコのバイクレーン

是非とも自転車をレンタルして

今年の冬は例年に比べ降雨量が少なかった。これから雨の無い時期がしばらく続くことになるから水不足が心配されるが、とにかく春がやって来たというのは気持ちがよい。

市内のあちこちには、バイクレーン(自転車用レーン)なるものがある。普通の車道の横に特別に少し広めの路肩があり、車道と区別するラインを引いて、そこにバイクレーンなるものが作られている。春になったのだから、気晴らしにもなるしよい運動にもなるから、こんなバイクレーンを活用しない手はない。

サンフランシスコ湾を東側に接して南北に走るエンバーカデーロ通り(The Embarcadero)にはバイクレーンがある。晴れ上がった空のもとで、湾から吹き込む風を受けながらゆっくりと北に向かってバイクのペダルを踏んでみたい。
ベイブリッジの高架下を抜け、幅広にとられた歩道で散歩を楽しんでいる人たちやジョギングをしている人たちをどんどん追い越して、いくつも並ぶ埠頭を数えながら、コイトタワーの立つノースビーチまでのびているこのバイクレーンを進む。

そこから左に折れて、西に向かって少し賑やかな通りを抜けると、市の北部に位置する緑の芝生に囲まれたフォートメイスン(Fort Mason)に行き当たる。穏やかな起伏のある敷地にはバイクパス(自転車用小道)が設けられている。
この小道には車は入れない。散歩をしている人たちやじゃれて走り回る犬などに交じって、鳥のさえずりを背中に聞きながらのんびりと走ってみたい。

そのあとに続くのがマリーナ埠頭。白い帆を畳んだ何艘ものヨットが右手横に碇泊している。続いて左手にパレスオブファインアーツ(Palace of Fine Arts)、さらにプレシディオ(Presidio)に接して広がるクリシーフィールド(Crissy Field)を抜けてまっすぐ走っていくとゴールデンゲートブリッジの袂に到着する。

ここで自転車を降りて、青い空のなかに聳え立つブリッジを見上げては、その下を行き来するヨットや船を追ってみると、とても心地よくすがすがしい。まだ春の初めを告げている冷やりとした空気を胸いっぱいに吸い込んで、対岸に見えるマリンに目をむけていると、自然に風景のなかに溶け込んでしまう。

こんな自転車用レーンは、なにも地元の人たちだけのものではない。少し余裕のある旅行日程でこの街を訪ねる予定の人たちには、是非とも自転車をレンタルしてこんなレーンを活用して街を回ってみてほしい
。急勾配な坂があちこちにあって、坂で有名なサンフランシスコだけれど、このルートだったら楽々。その上、なんと言っても景色が抜群だ。

青い空と白い帆を掲げたヨットが行き来する湾、湾の対岸に見える街並みや緑の木々、オレンジ色のゴールデンゲートブリッジ。カラフルで思い出になるショットが胸に刻まれること間違いない。

(2007/03)
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