ボンポワンのウインドウ

ボンポワンのウインドウ

「ル・ジャルダン・プラネテール」が人気

枯れ葉の季節。黄色や茶色の葉の落ち葉が目立ち、冬の訪れを告げている。こうなると、みずみずしい緑の若葉が妙に恋しくなるものだ。パリでは、ここ数年、庭ブームに沸いている。都会のオアシスを求め、アパートの狭いバルコニーを利用して、小さな庭づくりに励んでいるのだ。

ジャルダン(庭)に対するこだわりは、9月15日から開催されている展覧会「ル・ジャルダン・プラネテール」の人気からもうかがえる。場所は、パリ市内北部にある未来感覚の総合博物館エリア、ラ・ヴィレット。1867年の鉄骨の建物グランド・アール内に、巨大な庭が造られている。デザインを担当したのは、フランスの園芸デザイナー、ジル・クレマン。人間と自然の関係、庭の歴史、植物や昆虫の不思議が、散歩しながら楽しめるよう、演出されている。

館内は、民族の文化と自然の関係を紹介するビデオ、世界の珍しい植物、ヨーロッパから世界各地に植物採集のため旅立ったプラントハンターたちの遺品など、興味深い展示がいっぱい。竹の筒の中から、さまざまな虫の音が聞こえたり、虫メガネを使って、小さな生物を観察したり、スパイスの実の香りを試したりと、見て、聞いて、嗅いで、触って学べるよう、工夫されている。

日曜日は、入場までに約1時間の長い列。親子連れも多いが、若いカップルも目立つ。あらゆる世代が、「自然」を大切に考えているようだ。中に入れば、みんなが童心に戻り、好奇心いっぱいの表情。子供そっちのけで自分の世界に入ってしまっている親や、息子の質問に熱心に答える父親など、人間ウォッチングするのも面白い。

展覧会は2000年1月23日まで。庭マニアは、ますます増加しそうだ。フランス人の自然に親しむ姿勢を、ちょっとは見習いたいものである。

(1999/11/15)
こちらの記事もお役に立てるかもしれません。