定着した無国籍料理
パリといえば、カフェ、ブラッセリー、ビストロといった典型的なフランスらしい店を思い浮かべるだろうが、最近トレンディとされているのは、モダンなレストランやバー。
といっても、バブル期の東京のカフェバーを彷彿させる内装で、パリで「新しい」そうだが、日本人には「どこが?」といまいちピンとこない。
シャンゼリゼ通りから一本裏道に入ったところにある「マン・レイ」も、ワールドワイドな味が自慢のレストラン。今年1月にオープンして以来、ケイト・モス、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジョニー・デップなど、各国の有名人が訪れ、話題になっている。看板もないガランとした入り口から地下へ降りると、吹き抜けの広々としたレストランスペース。2体の巨大な天女(仏陀?)が、食事をする客を眺めているかのように空に舞っている。
壁には、マン・レイの写真がディスプレイされており、東洋と西洋のミックス感覚がおもしろい。内装を手掛けたのは、2mの仏像が見物の「ブッダ・バー」で知られるポルトガル人のデザイナー、ミゲル・カンシオ=マルタン。朱色が主流の、薄暗い空間は、かなりエキゾチックなムードいっぱい。肝心のお料理は、ベトナム風揚げ春巻き、タイ風エビのソテーなどアジアのものにプラスして、豆腐料理、寿司、刺身など和風のものも。器用にお箸を使って食べるのが、お洒落とされているようだ。
この手のレストランは、ニューヨークで人気の「アジア・デ・キューバ」のように、各都市で多発している。トレンドのグローバル化ともいえるが、昔ながらのビストロのほうが、私たち日本人にしてみれば、異国情緒あふれていて楽しいのだけど・・・。
(1999/10/15)
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