環境保護をポリシーとしているイブロッシュ
新しい年が始まり、2000年まであと2年と秒読み段階になった1998年。ハイテクか自然回帰か、最近は、世紀末っぽいミックス感覚がトレンドのようだ。コスメの分野でも、植物を原料にし、最新技術を駆使したものが「旬」の化粧品とされている。
地球上には、80万種類もの植物が存在しているという。その中には、太古の昔、薬として使用されていた植物も少なくない。新商品開発にしのぎを削るコスメ業界は、美容効果のある植物捜しに懸命だ。植物生薬研究の20%は、化粧品会社の依頼であるともいわれている。
研究者たちは、古典的な薬学の本を読み、インドの伝統的な医学や中国の漢方を学ぶことから始まり、メキシコ、インド、アマゾンなどの奥地へ出かけ、そこに生息している珍しい植物を見つけだし、研究開発を繰り返す....。気の遠くなるような距離と時間をかけて、ボタニック(植物学)化粧品は誕生するのである。
このようにして生まれた化粧品たち、クラランスのドゥーブル・セリュムには、ハワイ産くいのき、メキシコ産ミモザなど4種類の植物が含まれている。炎症を防止する中国シャクヤクの根が配合されたクロランヌのヘアケア製品は、傷んだ髪に効果的。
また、日本人にお馴染みのイチョウも、美しい肌のための貴重な原料に。中国が原産のこの木は、今フランスでも栽培されているそう。酸化防止、コラーゲン合成の活性化を促すイチョウの抽出エキスは、ピオスクリーンのスキンケアラインに配合されている。
フランスの自然化粧品メーカー、イブロッシュは、環境保護をポリシーとしながら、伝統的な植物の効果を生かし、現代人に適した新しい商品を開発している。また、人気急上昇中のニュックスも、自然の恵みを大切にしたマイルドな化粧品で注目されている。
大地の偉大な力に尊敬と感謝を忘れず、21世紀も美しく輝きたいものだ。