渋滞なんてなんのその、なくてはならないバイクメッセンジャー。
サンフランシスコのダウンタウン、マーケットストリートとサンソムストリートが交差する場所、モントゴメリーストリートとマーケットストリートが交差する場所、そして、ジャクソンストリートとデイビスストリートが交差する場所に、バイクメッセンジャーが集まる。所属する会社からの連絡が入るまでの待機場所だ。
一旦、連絡があると、颯爽と自転車に乗り、指定された会社に向かう。そこで渡された書類等の配達物を大きなショルダーバッグやリュックサックに入れて、配達すべく会社に向かう。自転車宅配便だ。バイクメッセンジャーというとちょっと洒落てるのかも。サンフランシスコ市内に約350人から400人のバイクメッセンジャーがいるという。
証券会社をはじめとする多くの会社が集まるダウンタウン。FedExやDHLといったの宅配便会社に頼るのはもちろんのこと。でも、必要なものを30分や1時間以内に届けてくれるというスピードが、何と言っても、このバイクメッセンジャーの強み。いくら信頼のあるFedExやDHLだってその日一日に集めたものを、次の日の朝に届けるのが通常。この書類を'今'10ブロック離れた顧客会社に届けたいときに、自転車宅配便が役に立つ。
バイクメッセンジャー会社に電話をする。その会社は、待機しているバイクメッセンジャーにTwoウエイレシーバーやポケットベルを通して連絡。メッセンジャーが、即座に自転車に乗り、届け物をピックアップするために依頼された会社に向かう。どこの都市のダウンタウンにもあるように、駐車は大きな問題。
でも、このバイクならどこにも駐車できる上に、できなければ、かついでだって動き回れる。それに渋滞なんてなんのその。車の間をするりと抜けて走る。配達が何てったって速い。そんな訳で、サンフランシスコのダウンタウンでは、このバイクメッセンジャーがなくてはならないもの。
バイクメッセンジャーの写真を撮ろうと、カメラのレンズを睨む。アッ。いたっと思いきや、ブロックからブロックへと自転車は速い。すぐに大きなビルの陰に隠れてしまう。
どれだけ急いでも、シャッターを押した瞬間には、メッセンジャーの姿はすでに写真のフレームの中から消えてしまっている。今度こそはと、ダウンタウンを突っ切る長いマーケットストリートに焦点を絞る。メッセンジャーの向かう方向でレンズを定めて写真のフレームに入ってくるのを待つ。
そしてシャッターを押す。それでも、バイクメッセンジャーは写真の端にやっとのことで収まっている程度。速さがとりえなのだから当然のことなのかも。
やっとのことで撮った写真は、待機場所で休憩をしていたメッセンジャー。動いていないからこれは簡単!彼は、自転車ごとバートやカルトゥレインに乗って、市内のみではなく、サンフランシスコ湾沿いの町のどこにでも配達をするとか。
全く彼らは、スピードもさることながら臨機応変でもあるのだ。