米国内で初めての同性者同士の結婚に対する証明書
結婚式を終え教会から出てきた新郎新婦が、祝福の言葉とともに両親や親戚の人たちや友達に見送られて、"Just Married"と大きく書かれた車に乗り込んで、ハネムーンに出発するというのは映画だけのシーンではない。これは二人にとって新しい門出を迎え、ハッピーな頂点にいる瞬間を象徴するシーンでもある。
今年新しくサンフランシスコ市長に就任した、歴代の市長の中でも最も若いうちに入るガヴィン・ニュースンは、二月に入って同性愛者(ゲイ、レズビアン)の結婚を法的に認め市庁舎で結婚式をはじめた。
すべてのひとが同等の権利を有すると定めた憲法に従えば、愛するひとがたまたま自分と同じ性であろうと結婚は許可されるべきで、同性愛者だからといって差別を受けるべきではないという考えからの認可で、短いセレモニーのあと結婚証書が渡される。同性者同士の結婚に対する証明書発行は米国内で初めてのことだ。
これに対し、結婚は異性間で行われるものと記された憲法に違反するとして反対する人たちも多い。実際、サンフランシスコのこの新しい認可の差し止めを迫る訴訟もすでに起こされた。判決がでるまでには、まだまだ時間がかかりそうだ。
そんな賛否両論の中、毎日のようにゲイやレズビアンのカップルが市庁舎の前に並ぶ。セレモニーのあと、手にした結婚証書を掲げて市庁舎から出てくるカップルに、親族や友達、自分たちの結婚式の順番を待つ人たちが喝采と祝福の言葉を贈る。
今まで結婚という形をとれなかったふたりだけに、やっと社会に認められたとばかりにほころばせる笑顔は印象的だ。
結婚をすればハッピーになるというわけではないが、結婚によってハッピーになる人は多いことも現実だ。そんな幸福感がもたらす精神的肉体的効果は意外に大きい。物事を肯定的に受け取るようになって、冷静に対処することができるようになるから、ストレスだと感じる因子を減らすことができる。
そんなことが体内のバランスをはじめ、肉体的に好影響を与えるのは十分に予想できるところだ。それに幸せだと感じると、すべてに対して意欲的になるだろうから、生産性を高め社会にとっても大きく貢献することになる。
結婚という名のもとに異性間の夫婦に与えられる社会的権利を、同性愛者であるというだけで放棄しなければならないとしたら、そのためにハッピーだと感じることができないとしたら、確かに憲法が定めるところの平等性に違反すると言えるかもしれない。
でも、結婚という今までの概念からすると、混乱が生じるのは必至だ。同性愛者の占める割合が国内で最も高いサンフランシスコだからこそ、その行方が気になるところだ。
ハッピーエンドになってくれることを祈るばかりだが、そう簡単にはいかないかもしれない。