祈りの日
2001年9月11日、同時多発テロによってハイジャックされた4機の旅客機が、世界貿易センターのツイン・タワーを崩壊し、国防総省のペンタゴン(五角形の形をしているのでこう呼ばれる)に激突し、また、ペンシルベニア州のフィールドに墜落して、3年になる。当時、その消火活動や援助活動に参加した消防士や警察官なども含めて、多くの命が失われた。
今年もこの日、悲惨な現場となったそれぞれの場所のほか、全米各地で様々な追悼の催しが行われた。ハイジャックされた旅客機の一機は、サンフランシスコ空港行きだったということもあって、被害者の中にはサンフランシスコや周辺都市の在住者も多くいた。
サンフランシスコでもクリシー・フィールド(Crissy Field)に、まだ夜も明けず暗いうちから、亡くなった人たちの親族だけでなく多くの人たちが集まり、黙祷を捧げ、追悼の催しが悲しみとともに静かに行われた。
この同時多発テロは、こちらではファミリー・バリュー(Family Value)を再確認する機会をつくった。愛するひと(親、子供、兄弟姉妹、夫や妻など)を失うことによって、物理的に精神的に、そのひとが家族の中でどんな位置にあり、どんな役割を果たしていたのかを確認し、そのひとがいなくなることが家族にとって一体どういうことなのかを考えさせられることになった。
第三者が当事者として、それがどれだけ悲しいことなのか、推し量ることは難しい。しかし、そんな被害者家族の悲痛な姿を見ながら、直接の被害者家族でない人たちも、この出来事を機会に、家族のあり方を改めて深く考えるようになった。
なくしてから、後悔をしたところで、どうにもならないから。
夕食に時間をたっぷりかけて夫婦でじっくり話をしたり、子供の話にしっかり耳を傾けたり、週末、家族みんなで散歩をしたりドライブをしたり、学校で行われる子供のイベントにもっと参加するようにしたり、ときには休みをとって、夫と妻ふたりで旅行をしたりと。
大切なひとと過ごす時間を最大限にして、その中身をより濃厚にしたい。そんな気持ちを生み出した。今自分の横にいるひとを大切にしたい、今のこの家族の生活を大切にしてより楽しみたい。そんな気持ちを生み出した。
毎年、9月11日が来ると、家族のあり方を再度考えてしまう。こんなことが原因でと思ってもしまうが、いつでも気づいたときが重要なときとも言える。悔いのないように、愛するひとを、今思いっきり愛し、大切にすることを忘れないでいたい。