San Joaquin Valley
一月に入ってしばらくして記録的な寒波が襲ってきた。
冬でも最低気温が極端に下がることのないサンフランシスコだが、夜間の気温は零度近くまで下がり、寒さで死亡する可能性があるとして、ホームレスの人たちのために夜間寝泊まりができるように特設の宿泊施設が用意されたほどだ。高めの気温が続いていて例年よりも暖かい冬だと思っていた矢先の襲来だった。
今の時期、サンフランシスコにでまわるオレンジ、レモン、タンジェリンといった柑橘系フルーツは、サンホアキン・ヴァリィー(San Joaquin Valley)を中心とするカリフォルニア州内陸部で栽培されている。
この地域がこの寒波で大きな被害を受けてしまった。内陸部だけに夜間の気温は氷点下5度以下にまで下がったとか。テレビの画面から流れる、樹木になるオレンジが凍り付いて、その実から大小の氷柱がぶら下がっている様子は、その寒さを物語っていた。
オレンジなどの柑橘系フルーツは手ごろな値段でどこでも簡単に手に入ることもあり、人気がある部類の果物だ。スキッとした味と香りをもつそんなフルーツは疲労回復や筋肉痛予防に効果があるクエン酸を含んでいて、心身ともにリフレッシュしてくれる。それに体の新陳代謝に欠かせないビタミンCを含んでいるから、蛋白質コラーゲンの生成を助けて傷の治癒や血管強化に貢献するほか、様々な結合組織をつくり、健康な歯茎を育成し、さらには丈夫な歯や骨の形成を促進するとか。
もちろん、ご存知のように肌にもよいときている。また、白血球といっしょに働いてウイルスをやっつけてくれるので、免疫力を高めることにもなるらしい。とにかく、体にうれしい食品のようだ。だから、そんなフルーツが大きな被害を受けてしまったとは他人事のニュースではない。
収穫高10億ドルと言われるこれらのフルーツの3/4が、この寒さのために被害を受けたと予想されているが、凍って実の中身がやられてしまった売り物にならないフルーツの今季の損害だけでなく、寒さの影響が深刻な樹木が元通りになるまでの数年のあいだの収穫減も大きな損害となることだろう。この奇襲の影響がどこまで出るかは、しばらく様子をみてみなければわからないのかもしれない。
朝食や昼食などに単品として食べるほか、デザートの材料として使ったり、付け合せにしたりと柑橘系フルーツの用途は様々。
こんな重宝なフルーツだから、それが品薄になれば、需要と供給のバランスに従って価格の上昇は必至。これまで毎日のように気軽に口にしていたフルーツだが、さてさて、価格との折り合いがどうなることだろう。しばらく値段とにらめっこが続きそうだ。