寝袋

スリーピングバッグをベッドのかわりに

「今週末は大学のころの友達がシカゴからやってくるの」「来月、うちの両親がやってくるんだ」知り合いなどからよく聞く言葉だ。
ワンルームストューディオアパートだろうと、ワンベッドルームアパートに住んでいようと、友達や両親を泊めてあげるのだ。

泊めてあげる人たちは、来客のために何とかスペースを確保する。部屋数のないアパートなどでは、ソファーをベッドの代わりにするし、ソファーベッドをもっている人は、夜には折り込んであるベッドを引き出してリビングルームを寝室に変えたりする。また、毛布やひざ掛けなどを組み合わせてかけ布団にする。
友達がほかの友達を連れてやってきたりすることもあるから、もっている毛布やベッドなどが不足する場合だってあるけれど、そんなときは空気を吹き込んだエアーマットレスやキャンプで使うスリーピングバッグをベッドのかわりにしたりする。

夕食や朝食。関係によってさまざまなパターンがあるけれど、基本はお互いにおかまいなく。ほかの友達や知り合いなどと予定をくんでいて夕食は外で済ませてきたり、あるいは、来客としてやってきた友達や両親が泊めてもらう代わりにといってホストを外食にさそったり、テイクアウトしたピッツァなどを夕食としてご馳走したりする。

泊めてあげるホストたちは、十分な水やミルク、ジュース、ヨーグルト、シリアルなどを用意しておいて、"ほしいときに勝手に冷蔵庫をあけて食べて"といっておくだけで朝食も格式ばって用意をしないことが多い。もちろん一緒に朝食をとったりすることもあるけれど、基本的にホストも来客もなくお互いにヘルプしあって朝食のテーブルを準備したりコーヒーを注いだりする。

こんな感じで、泊めてあげる人は特別な接待をしないし、泊めてもらう人だって特別な待遇を期待しない。みんながみんなというわけではないが、往々にしてお互いが気楽に受けとめていることが多い。
だから、今度そちらのほうに行くときには、「泊めてくれる?」と気楽に聞くことができる。経済的でもあるし、友達の仲や身内の絆をしっかりとつなぐ手段にもなっている。

ところが、日本では様子が違う。泊めてあげる人は来客をお客さまとしてもてなさなければならないと思ってしまう。だから、部屋数が足らなくてとか、なにもおかまいできませんからといって恐縮してしまうことになる。まず、お客様がやってくるというその負担が大きくのしかかって、あまりあってほしくないこととしてとりがち。また自分のそんな気持ちがあるから、気軽に泊めてくださいとも聞かないのが本当のところだろうか。

でも気持ちのもちようで気分など随分と変わってくるもの。少しばかりこんな"気楽さ"を見習ってみてはどうだろうか。こんな経済的な気楽さは、不景気なときだけに役立ちそうに思えてならない。

(2009/04)
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