結婚はせずに同居するカップルが増える
アメリカの離婚率は日本とは比べ物にならないぐらい高い。結婚しなければ離婚できないわけだから、離婚が多いということは結婚の数も多いという理屈になる。そして、離婚が多いのだから二度以上結婚する人たちも少なくない。
婚姻届を提出すると、結婚証明書が発行される。昨年の発行数をみるとサンフランシスコでは平均にして月に約850件となっている。その数字は春ごろから少しずつ増えていき夏にはひと月1,000件を超え、秋になってまた減っていく。結婚は季節と関係があるようだ。
1970年以来、結婚率はどんどん下がっているという。アメリカ全州の平均で1970年にあらたに結婚した女性が7.6%だったのに対して2008年には3.5%に減ってしまっているという。カリフォルニア州の率はさらに低い。通常都市部の数字は低めになっているので、サンフランシスコの率はカリフォルニア州よりもさらに低いと予想される。
確かに結婚の数は減ってきているようだ。でもだからといって一人暮らしで単身生活をする人が多くなってきているかというとそうではなく、結婚はせずに同居するカップルが増えてきているという。離婚の数が増えるに従って、同じ経験をしたくない、子供たちのために、すでに二度離婚をしたから、など様々な理由で、もう結婚という形をとりたくない人たちがそのなかに含まれているのかもしれない。それに結婚をしているという社会的な束縛をうけたくないから、また単に二人でいたいからといった人たちもそのなかにいるのかもしれない。
結婚という定義が物議をかもしている。
同性愛のカップルたちがただ同居しているというだけではなく"結婚"しているというステータスを獲得しようとあちこちで熱心に活動を展開している。そして、賛成派、反対派の両者が結婚の定義を憲法に差し入れてはどうかといった政治的な動きにまで発展している。結婚-それぞれの境遇や制約によって重い意義が込められているようだ。
とにかく、この人と結婚をしようと決めた人たちにとって、結婚という儀式や結婚前と後という境界線を考えると、たとえ一度だけでない結婚でも意味は大きいに違いない。
ウエディングドレスにしても白無垢にしても、もともと白は神聖な色で身の清らかさを示す色だとか。人生において結婚という境目を新たなスタートとみるからのいでたちになっているのだろう。
雨の多かった冬が終わって春を迎えた。ユニオンスクエアで、結婚指輪などを取り扱う店がブライダルイベントを開いた。春が待てないとばかりにウエディングの計画をたてているカップルに刺激を与えようといった具合だろうか。
雨がやみ春の暖かな風がながれ、青い空にうかぶ太陽からまぶしい光がさすころになると、"Will you marry me?"の言葉があちこちで聞こえてくるようになる。