馴染み深い食材を漢方医学の見方で紹介していきます。

「気味の正なるものは穀食のたぐい。以て人の正気を養う。
気味の偏するものは薬のたぐい。以て人の疾病を治す」
と古書にあります。香りや味のマイルドなものは食品で体力を養う。
香りや味のきついものは毒にも薬にもなり疾病を治す。
というものですが、すっきりとは分けられないのが医食同源の由縁です。

東洋医学内科/理学診療科
松柏堂医院院長  中村 篤彦

医食同源 ア・ラ・カルト—食材と漢方—記事一覧

  1. あけび(木通・山女)—気も血も水も通りやすくなる—
  2. 麻の実(麻子仁・火麻仁・苧実・おのみ)—油が滋養作用を持つ—
  3. アシタバ(明日葉・八丈草)—精油成分には利尿、緩下、毛細血管強化作用—
  4. 小豆(赤小豆)—「脚気」(脚のむくみ)に用いらる—
  5. 阿仙薬(あせんやく・ガンビール・方児茶)—収斂剤の代表—
  6. 甘茶(甘茶つる・七葉胆)—豊富なサポニン—
  7. アマドコロ(玉竹・甘野老)—小林一茶も愛飲—
  8. アーモンド(扁桃・巴旦杏仁)—ヨーロッパでは古くから鎮咳剤に—
  9. アロエ(コダチアロエ、木立蘆會(ろかい)—手間のかからない生薬—
  10. アワビ(鮑・石決明・千里光)—殻を砕いたものが目薬として有名—
  11. イカ(甲烏賊・烏賊骨・ウゾッコツ)—「収斂作用」「固澁作用」が特徴—
  12. イチジク(無花果・無花果葉)—単独で民間薬的に使用—
  13. イヌサフラン(犬泪夫藍・コルチカム)—痛風の特効薬コルヒチン—
  14. 岩ぢしゃ(山ぢしゃ・イワタバコ・岩煙草)—じっくり煎じて胃腸薬に—
  15. インヨウカク(淫羊カク・放杖草・仙霊脾・碇草)—強精・強壮薬として—
  16. ウイキョウ(茴香)—地中海原産の芳香健胃剤—
  17. ウコン(欝金・姜黄・ターメリック)—気分の鬱を開く黄金色の薬—
  18. ウド(独活・ししウド・羌活)—風湿を除き経路を通す—
  19. ウナギ(鰻・鰻麗魚・まんれいぎょ)—五痔、瘡瘻、諸虫に効く—
  20. 梅(烏梅)—毎日食べるのは健康の秘訣—
  21. 瓜(蔕)—催吐作用と瀉下作用—
  22. 屠蘇酒(おとそ)—お正月には欠かせない縁起物—
  23. 海藻(マクリ・アヤギヌ・マコンブ・テングサ)—ヨードが豊富な毒下し—
  24. カカオ—アオギリ科の植物3題—
  25. 牡蛎(カキ・蛎・牡蛎肉)—制酸作用、安神作用がある—
  26. 柿(柿蔕・柿漆・柿餅・柿霜・柿葉)—柿が赤くなれば医者が青くなる—
  27. かごそう(夏枯草・ウツボ草・イシャダオシ)—またの名を医者倒し—
  28. カノコソウ(吉草根・バレリアン)—婦人の保健薬などに—
  29. カモミール(カミツレ・菊花)—女性の緊張や傷みに最適—
  30. からし(芥子)—古くからある香辛料—
  31. カリン(木瓜・ボケ・クサボケカリン)—カリンは痰を除き、木瓜は湿を除く—
  32. カルダモン(白豆蒄・小豆蒄・草豆蒄・縮砂)—芳香性の健胃剤—
  33. 甘草(かんぞう)—最も多量多種の漢方処方—
  34. かんじゅう(貫衆・ゼンマイ)—古来、薬草として—
  35. 木イチゴ(覆盆子・御所苺)—補腎補肝の作用があり腎虚に効く—
  36. 菊花(黄甘菊・杭菊花・野菊花)—「杞菊地黄丸」などに配合—
  37. 銀杏(白果・鴨脚・公孫樹)—抗活性酸素作用が注目—
  38. クエンヒ(枸櫞皮)—胃腸の動きを整える—
  39. クコ(枸杞・枸杞子・枸杞葉)—精気を補益し陰道を強盛するなり—
  40. 葛(くず)—風邪だけではなく用途は多様—
  41. くせき(狗脊・ワラビ)—古来、薬草として—
  42. クチナシ(梔子)—口内炎やのどにも効果あり—
  43. クマザサ(隈笹・熊笹・千島笹・チマキ笹)—青汁やエキスなどは有名—
  44. 熊の胃(熊胆)—良薬口に苦し—
  45. クラゲ(水母)—清熱、化痰、止咳の作用—
  46. クロモジ(黒文字・釣樟・樟脳・楠木)—虫歯を防ぐ口中の消毒、清涼剤—
  47. クローブ(丁字・丁香)—胃腸を温めて働きを活発に—
  48. クルミ(胡桃仁・胡桃青皮・分心木)—豊富なリノール酸が滋養強壮に—
  49. 桑(桑白皮・桑葉)—付加価値抜群の伝説の木—
  50. クワイ(光慈姑・甘菜・山慈姑)—清熱解毒・散結などの作用—
  51. 鶏卵(鶏子黄・鶏子白・鶏冠血・鶏内金・鶏屎白)—食用普及は明治以降—
  52. ケシ(罌粟殻・御米穀・芥子・ポピーシード)—プツプツの食感がよい—
  53. 糀(麹・神麹・六曲・六神曲)—消化の促進効果がある発酵食品—
  54. 鯉(リギョ)—利尿や催乳作用がある—
  55. 穀芽—神麹、山査子と合わせると「焦三仙」—
  56. ごとうし(梧桐子・青桐)—アオギリ科の植物3題—
  57. 虎丈根(虎丈根・いたどり・スカンポ)—痛みが取れるから「痛取り」—
  58. ゴボウ(牛蒡・悪実・牛蒡子)—繊維質が豊富な食べる薬—
  59. ゴマ(胡麻・芝胡麻・脂麻・セサミ)—先天の元気を養う—
  60. 小麦(しょうばく・浮小麦)—盗汗(ねあせ)などを止める補陰作用
  61. 米(粳米・コーベイ・うるちまい)—穀類の最優等生—
  62. コリアンダー(芫欄・香菜・胡欄子)—透疹作用有り—
  63. ころは(胡蘆巴・フェヌグリーク)—民間薬として滋養強壮、栄養補給に—
  64. コンフリー(ヒレハリソウ・鰭玻璃草・シンフィツム根)—毒性に注意—
  65. コーラ—アオギリ科の植物3題—
  66. 酒(白酒・清酒・薬酒)—百薬の長だが、過ぎれば毒—
  67. ザクロ(石榴・石榴皮)—果皮を乾燥させ下痢止めに—
  68. サフラン(顔夫藍・番紅花・蔵紅花)—健胃剤、精神の鎮静剤、通経剤などに—
  69. 沢ガニ(津蟹・しんかい・藻くず蟹)—黒焼きにして化膿症や外傷に—
  70. サンザシ(山査子・野山査・南山査・北山査)—山査子といえば消化剤—
  71. 山椒(蜀椒)—強い香りの健胃剤—
  72. 塩—空気や水と並ぶ根本的なもの—
  73. しじみ(蜆)—酒毒・目黄を解する—
  74. 紫蘇(蘇葉・蘇子)—ノビノビと気を巡らす—
  75. シナモン(桂枝・肉桂)—漢方の「衆方の祖」—
  76. 生姜—医食同源の代表格—
  77. 女貞子(じょていし・ネズミモチ)—足腰の老化や白髪、視力低下などに—
  78. 酢(苦酒・ビネガー・木酢・竹酢)—殺菌作用と食欲増進—
  79. スイカ(西瓜・水瓜・西瓜糖)—渇をとめ、小水を利する—
  80. スッポン(別甲・亀板・クサガメ)—滋養強壮と補陰作用が強い—
  81. セッコク(石斛・デンドロビウム)—代表的な補陰薬—
  82. ゼラチン(阿膠・膠・煮皮)—補血、止血に効果—
  83. セロリ—漢方処方には利用されず—
  84. セージ(サルビア・アキノタムラソウ・丹參)—口中清涼剤、頭痛薬などにも—
  85. 大根—毒消しとして古来から親しまれる—
  86. 大豆(納豆・香鼓)—日本の食生活に欠かせぬもの—
  87. 筍(竹・竹葉・竹茹・竹瀝)—体の余熱をとる—
  88. たばこ(煙草)—初期は薬として用いられたこともある—
  89. たらの木(朷木皮・ソウモクヒ)—精神の安定の作用も—
  90. タンポポ(蒲公英・蕗たんぽぽ・款冬花)—炎症をとめ、熱を下げ、腫れ物を治す—
  91. 茶(お茶・茶葉)—一服でリラックス—
  92. ちょたん(猪膽・猪胆汁)—良薬口に苦し—
  93. 燕の巣(燕窩・アナツバメ・金糸燕・海燕)—虚弱体質や慢性消耗の薬膳スープ—
  94. ツワブキ(石蕗・艶蕗・蓮蓬草)—強い抗菌作用のヘキセナールを含む—
  95. 唐辛子(辣椒・蕃椒)—民間薬として有名なのは糾勵根—
  96. 冬虫夏草(とうちゅうかそう・ふゆむしなつくさ)—たいへん高価な滋養強壮剤—
  97. 玉蜀黍の髭(玉蜀黍・玉米鬚・コーンシルク)—古くから利尿剤、利胆剤—
  98. ドクダミ(十薬・重薬)—解毒剤として—
  99. トチュウ(杜仲・杜仲茶)—下半身の老化、衰えに有効—
  100. トンブリ(地膚子・箒木)—排泄をよくし、老化を防ぐ—
  101. 茄子(蔕)—多収穫の便利な野菜—
  102. ナタマメ(刀豆・白刀豆・鉈豆)—歯槽膿漏・鼻炎・蓄膿症などの化膿止—
  103. なつめ(棗)—菓子としても薬としても利用—
  104. ナツメグ(肉豆蒄・肉果・メース)—芳香性健胃薬として—
  105. ナルコユリ(鳴子百合・黄精)—小林一茶も愛飲—
  106. ニワトリ(烏骨鶏・酉)—滋養作用、精熱作用もつよい—
  107. にんにく(大蒜)—浴剤としても効果あり—
  108. 麦芽—神麹、山査子と合わせると「焦三仙」—
  109. パセリ—漢方処方には利用されず—
  110. 蜂蜜(白蜜・石蜜・蜜乳)—身を軽くして飢えず老いず—
  111. ハッカ(薄荷・ミント・メントール)—生命力の強い香草—
  112. ばっかつ(猿捕茨・山帰来)—根茎が梅毒治療薬に—
  113. はとむぎ(苡仁)—日常的に使うならハトムギ茶を—
  114. ハブ茶(エビス草・決明子・ハブ草)—「明目作用」有り—
  115. ハマグリ(蛤・文蛤・海蛤殻)—貝殻を焼いて粉末にして用いる—
  116. ビワ(枇杷・枇杷葉・枇杷仁)—枇杷黄にして医者せわしく—
  117. ふき(蕗・蜂斗菜・款冬・款冬花)—鎮咳去痰に—
  118. ベニバナ(紅花・臙脂花)—紅花紫のものは血分に走り清熱の功あり—
  119. ボウフウ(防風・浜防風)—「カゼ」を「防ぐ」特効薬だから「防風」—
  120. ホオズキ(灯篭草・登呂根・酸漿・酸漿根)—いろいろな炎症を抑える—
  121. ホオ葉(厚朴・ホオノキ)—芳香性の生薬で、胃腸の蠕動を活発に—
  122. マタタビ(又旅・猫人参・木天寥・キウイフルーツ)—薬用酒、浴剤で利用—
  123. マトン(羊肉)—甘草の葉を食べ肉に薬効—
  124. みかん(陳皮・橘皮)—水をさばくことに薬効あり—
  125. 水飴(膠飴・麦芽糖)—水飴も重要な漢方—
  126. ミズキ(山茱萸・春黄金花)—老化現象に効果—
  127. 桃(桃仁・桃葉・白桃花)—女性の血の道症に—
  128. やまいも(山薬)—身体の各部を活発にする効果あり—
  129. 雪の下(虎耳草・耳だれ草)—葉には抗菌作用—
  130. ユリ根(百合・ユリ)—咳による体力低下に効果—
  131. よもぎ—婦人用の妙薬—
  132. 落花生(地豆・南京豆・長生果)—疲労回復におすすめ—
  133. 竜眼肉(リュウガンニク・桂円肉・桂元)—アデニン、コリンを含む—
  134. レモン皮(檸檬皮)—胃腸の動きを整える—
  135. レンコン(蓮肉・石蓮子・荷葉・藕節)—下痢、頻尿、帯下などを止める—
  136. わさび—日本特有のスパイス—