馴染み深い食材を漢方医学の見方で紹介していきます。
「気味の正なるものは穀食のたぐい。以て人の正気を養う。
気味の偏するものは薬のたぐい。以て人の疾病を治す」
と古書にあります。香りや味のマイルドなものは食品で体力を養う。
香りや味のきついものは毒にも薬にもなり疾病を治す。
というものですが、すっきりとは分けられないのが医食同源の由縁です。
東洋医学内科/理学診療科
松柏堂医院院長 中村 篤彦
松柏堂医院院長 中村 篤彦
医食同源 ア・ラ・カルト—食材と漢方—記事一覧
- あけび(木通・山女)—気も血も水も通りやすくなる—
- 麻の実(麻子仁・火麻仁・苧実・おのみ)—油が滋養作用を持つ—
- アシタバ(明日葉・八丈草)—精油成分には利尿、緩下、毛細血管強化作用—
- 小豆(赤小豆)—「脚気」(脚のむくみ)に用いらる—
- 阿仙薬(あせんやく・ガンビール・方児茶)—収斂剤の代表—
- 甘茶(甘茶つる・七葉胆)—豊富なサポニン—
- アマドコロ(玉竹・甘野老)—小林一茶も愛飲—
- アーモンド(扁桃・巴旦杏仁)—ヨーロッパでは古くから鎮咳剤に—
- アロエ(コダチアロエ、木立蘆會(ろかい)—手間のかからない生薬—
- アワビ(鮑・石決明・千里光)—殻を砕いたものが目薬として有名—
- イカ(甲烏賊・烏賊骨・ウゾッコツ)—「収斂作用」「固澁作用」が特徴—
- イチジク(無花果・無花果葉)—単独で民間薬的に使用—
- イヌサフラン(犬泪夫藍・コルチカム)—痛風の特効薬コルヒチン—
- 岩ぢしゃ(山ぢしゃ・イワタバコ・岩煙草)—じっくり煎じて胃腸薬に—
- インヨウカク(淫羊カク・放杖草・仙霊脾・碇草)—強精・強壮薬として—
- ウイキョウ(茴香)—地中海原産の芳香健胃剤—
- ウコン(欝金・姜黄・ターメリック)—気分の鬱を開く黄金色の薬—
- ウド(独活・ししウド・羌活)—風湿を除き経路を通す—
- ウナギ(鰻・鰻麗魚・まんれいぎょ)—五痔、瘡瘻、諸虫に効く—
- 梅(烏梅)—毎日食べるのは健康の秘訣—
- 瓜(蔕)—催吐作用と瀉下作用—
- 屠蘇酒(おとそ)—お正月には欠かせない縁起物—
- 海藻(マクリ・アヤギヌ・マコンブ・テングサ)—ヨードが豊富な毒下し—
- カカオ—アオギリ科の植物3題—
- 牡蛎(カキ・蛎・牡蛎肉)—制酸作用、安神作用がある—
- 柿(柿蔕・柿漆・柿餅・柿霜・柿葉)—柿が赤くなれば医者が青くなる—
- かごそう(夏枯草・ウツボ草・イシャダオシ)—またの名を医者倒し—
- カノコソウ(吉草根・バレリアン)—婦人の保健薬などに—
- カモミール(カミツレ・菊花)—女性の緊張や傷みに最適—
- からし(芥子)—古くからある香辛料—
- カリン(木瓜・ボケ・クサボケカリン)—カリンは痰を除き、木瓜は湿を除く—
- カルダモン(白豆蒄・小豆蒄・草豆蒄・縮砂)—芳香性の健胃剤—
- 甘草(かんぞう)—最も多量多種の漢方処方—
- かんじゅう(貫衆・ゼンマイ)—古来、薬草として—
- 木イチゴ(覆盆子・御所苺)—補腎補肝の作用があり腎虚に効く—
- 菊花(黄甘菊・杭菊花・野菊花)—「杞菊地黄丸」などに配合—
- 銀杏(白果・鴨脚・公孫樹)—抗活性酸素作用が注目—
- クエンヒ(枸櫞皮)—胃腸の動きを整える—
- クコ(枸杞・枸杞子・枸杞葉)—精気を補益し陰道を強盛するなり—
- 葛(くず)—風邪だけではなく用途は多様—
- くせき(狗脊・ワラビ)—古来、薬草として—
- クチナシ(梔子)—口内炎やのどにも効果あり—
- クマザサ(隈笹・熊笹・千島笹・チマキ笹)—青汁やエキスなどは有名—
- 熊の胃(熊胆)—良薬口に苦し—
- クラゲ(水母)—清熱、化痰、止咳の作用—
- クロモジ(黒文字・釣樟・樟脳・楠木)—虫歯を防ぐ口中の消毒、清涼剤—
- クローブ(丁字・丁香)—胃腸を温めて働きを活発に—
- クルミ(胡桃仁・胡桃青皮・分心木)—豊富なリノール酸が滋養強壮に—
- 桑(桑白皮・桑葉)—付加価値抜群の伝説の木—
- クワイ(光慈姑・甘菜・山慈姑)—清熱解毒・散結などの作用—
- 鶏卵(鶏子黄・鶏子白・鶏冠血・鶏内金・鶏屎白)—食用普及は明治以降—
- ケシ(罌粟殻・御米穀・芥子・ポピーシード)—プツプツの食感がよい—
- 糀(麹・神麹・六曲・六神曲)—消化の促進効果がある発酵食品—
- 鯉(リギョ)—利尿や催乳作用がある—
- 穀芽—神麹、山査子と合わせると「焦三仙」—
- ごとうし(梧桐子・青桐)—アオギリ科の植物3題—
- 虎丈根(虎丈根・いたどり・スカンポ)—痛みが取れるから「痛取り」—
- ゴボウ(牛蒡・悪実・牛蒡子)—繊維質が豊富な食べる薬—
- ゴマ(胡麻・芝胡麻・脂麻・セサミ)—先天の元気を養う—
- 小麦(しょうばく・浮小麦)—盗汗(ねあせ)などを止める補陰作用
- 米(粳米・コーベイ・うるちまい)—穀類の最優等生—
- コリアンダー(芫欄・香菜・胡欄子)—透疹作用有り—
- ころは(胡蘆巴・フェヌグリーク)—民間薬として滋養強壮、栄養補給に—
- コンフリー(ヒレハリソウ・鰭玻璃草・シンフィツム根)—毒性に注意—
- コーラ—アオギリ科の植物3題—
- 酒(白酒・清酒・薬酒)—百薬の長だが、過ぎれば毒—
- ザクロ(石榴・石榴皮)—果皮を乾燥させ下痢止めに—
- サフラン(顔夫藍・番紅花・蔵紅花)—健胃剤、精神の鎮静剤、通経剤などに—
- 沢ガニ(津蟹・しんかい・藻くず蟹)—黒焼きにして化膿症や外傷に—
- サンザシ(山査子・野山査・南山査・北山査)—山査子といえば消化剤—
- 山椒(蜀椒)—強い香りの健胃剤—
- 塩—空気や水と並ぶ根本的なもの—
- しじみ(蜆)—酒毒・目黄を解する—
- 紫蘇(蘇葉・蘇子)—ノビノビと気を巡らす—
- シナモン(桂枝・肉桂)—漢方の「衆方の祖」—
- 生姜—医食同源の代表格—
- 女貞子(じょていし・ネズミモチ)—足腰の老化や白髪、視力低下などに—
- 酢(苦酒・ビネガー・木酢・竹酢)—殺菌作用と食欲増進—
- スイカ(西瓜・水瓜・西瓜糖)—渇をとめ、小水を利する—
- スッポン(別甲・亀板・クサガメ)—滋養強壮と補陰作用が強い—
- セッコク(石斛・デンドロビウム)—代表的な補陰薬—
- ゼラチン(阿膠・膠・煮皮)—補血、止血に効果—
- セロリ—漢方処方には利用されず—
- セージ(サルビア・アキノタムラソウ・丹參)—口中清涼剤、頭痛薬などにも—
- 大根—毒消しとして古来から親しまれる—
- 大豆(納豆・香鼓)—日本の食生活に欠かせぬもの—
- 筍(竹・竹葉・竹茹・竹瀝)—体の余熱をとる—
- たばこ(煙草)—初期は薬として用いられたこともある—
- たらの木(朷木皮・ソウモクヒ)—精神の安定の作用も—
- タンポポ(蒲公英・蕗たんぽぽ・款冬花)—炎症をとめ、熱を下げ、腫れ物を治す—
- 茶(お茶・茶葉)—一服でリラックス—
- ちょたん(猪膽・猪胆汁)—良薬口に苦し—
- 燕の巣(燕窩・アナツバメ・金糸燕・海燕)—虚弱体質や慢性消耗の薬膳スープ—
- ツワブキ(石蕗・艶蕗・蓮蓬草)—強い抗菌作用のヘキセナールを含む—
- 唐辛子(辣椒・蕃椒)—民間薬として有名なのは糾勵根—
- 冬虫夏草(とうちゅうかそう・ふゆむしなつくさ)—たいへん高価な滋養強壮剤—
- 玉蜀黍の髭(玉蜀黍・玉米鬚・コーンシルク)—古くから利尿剤、利胆剤—
- ドクダミ(十薬・重薬)—解毒剤として—
- トチュウ(杜仲・杜仲茶)—下半身の老化、衰えに有効—
- トンブリ(地膚子・箒木)—排泄をよくし、老化を防ぐ—
- 茄子(蔕)—多収穫の便利な野菜—
- ナタマメ(刀豆・白刀豆・鉈豆)—歯槽膿漏・鼻炎・蓄膿症などの化膿止—
- なつめ(棗)—菓子としても薬としても利用—
- ナツメグ(肉豆蒄・肉果・メース)—芳香性健胃薬として—
- ナルコユリ(鳴子百合・黄精)—小林一茶も愛飲—
- ニワトリ(烏骨鶏・酉)—滋養作用、精熱作用もつよい—
- にんにく(大蒜)—浴剤としても効果あり—
- 麦芽—神麹、山査子と合わせると「焦三仙」—
- パセリ—漢方処方には利用されず—
- 蜂蜜(白蜜・石蜜・蜜乳)—身を軽くして飢えず老いず—
- ハッカ(薄荷・ミント・メントール)—生命力の強い香草—
- ばっかつ(猿捕茨・山帰来)—根茎が梅毒治療薬に—
- はとむぎ(苡仁)—日常的に使うならハトムギ茶を—
- ハブ茶(エビス草・決明子・ハブ草)—「明目作用」有り—
- ハマグリ(蛤・文蛤・海蛤殻)—貝殻を焼いて粉末にして用いる—
- ビワ(枇杷・枇杷葉・枇杷仁)—枇杷黄にして医者せわしく—
- ふき(蕗・蜂斗菜・款冬・款冬花)—鎮咳去痰に—
- ベニバナ(紅花・臙脂花)—紅花紫のものは血分に走り清熱の功あり—
- ボウフウ(防風・浜防風)—「カゼ」を「防ぐ」特効薬だから「防風」—
- ホオズキ(灯篭草・登呂根・酸漿・酸漿根)—いろいろな炎症を抑える—
- ホオ葉(厚朴・ホオノキ)—芳香性の生薬で、胃腸の蠕動を活発に—
- マタタビ(又旅・猫人参・木天寥・キウイフルーツ)—薬用酒、浴剤で利用—
- マトン(羊肉)—甘草の葉を食べ肉に薬効—
- みかん(陳皮・橘皮)—水をさばくことに薬効あり—
- 水飴(膠飴・麦芽糖)—水飴も重要な漢方—
- ミズキ(山茱萸・春黄金花)—老化現象に効果—
- 桃(桃仁・桃葉・白桃花)—女性の血の道症に—
- やまいも(山薬)—身体の各部を活発にする効果あり—
- 雪の下(虎耳草・耳だれ草)—葉には抗菌作用—
- ユリ根(百合・ユリ)—咳による体力低下に効果—
- よもぎ—婦人用の妙薬—
- 落花生(地豆・南京豆・長生果)—疲労回復におすすめ—
- 竜眼肉(リュウガンニク・桂円肉・桂元)—アデニン、コリンを含む—
- レモン皮(檸檬皮)—胃腸の動きを整える—
- レンコン(蓮肉・石蓮子・荷葉・藕節)—下痢、頻尿、帯下などを止める—
- わさび—日本特有のスパイス—