1998年9月の出来事
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オズ、ミゾグチ、クロサワ・・・ちょっとした映画通のニューヨーカーなら、まず知っている名前です。
中でもクロサワの名前と姿は、数年前にアカデミー賞の特別栄誉賞を得て、その授賞式に彼が出席した模様がオンエアされたこともあって、かなり多くの人々に認知されていた。その黒澤監督もついに・・。
このニュースは世界各国を素早く駆けめぐり、その後何人ものニューヨーカーから「クロサワは残念だった」「”七人の侍”を何度観たかわからない。自分の好きな映画のベスト5に入っていたのに」・・などという声をかけられた。その時私が思ったのは「黒澤さんて噂だけでなく、海外でも本当に有名だったのね」ということでした。

そういえばニューヨークに住みはじめたばかりの頃、老夫婦に「あなた日本人?私はまだ日本て国には一度も行ったことはないけれど、オザワとクロサワの国でしょ」と、突然アパートメントの地下のランドリールームで声をかけられたことがありましたっけ。

実は私は日本にいた頃には、「羅生門」さえきちんと観たことがなかったのです、恥ずかしながら。当時は毎日「日本の文化とか、風習について聞かれたらどうしよう。英語力ももちろんだけど、内容さえおぼつかないのに」とドキドキ暮らしていたのでした。(現実はそんな質問を受けることはめったになく、日本に関心のある人は私が伝えられる程度のことはすでに知っていたのですが・・)

でも当時は必死でしたから(今思うと、我ながら何とけなげ!)、よくビデオ屋さんの”外国映画コーナー”へ行っては借りてきていました、オズ、ミゾグチ、クロサワの作品を。

ある程度大きいビデオ屋さんにはきちんと日本人監督作品のコーナーが設けられているという状況設定が、私にとってはちょっと意外でもあり、うれしく誇らしくもあり。

何のことはない、黒澤監督の「姿三四郎」から「夢」までのほとんどの作品を、私はこちらニューヨークに来てから観たのでした。
黒澤監督の訃報を耳にし、またまた「ふるさとは、遠きにありて思うもの・・」の感を深めた次第です。

98/9/15
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