百万冊もの本を保有
サンフランシスコに市立図書館が初めて作られたのは1879年のこと。5,656冊の本が納められた図書館で、当時、市民は読書室の中でのみ本を閲覧することを許されていたとか。それが1881年になって本を図書館外に持ち出して借りることができるようになる。その後1906年に起った大地震で多大な被害を受けた図書館も、1944年までには、五十万冊の本を集める図書館に成長する。
現在、市内には28の市立図書館があり、合計で三百万冊の本を保有している。その中でも市庁舎の近くにあるメイン図書館は、もともと200 Larkin Streetにあったメイン図書館の老朽化にともない、1996年に1億3,400万ドル(約16億円)をかけて100 Larkin Streetに移動完成された市内で最も新しくて大きな図書館で、市立図書館全体の1/3(百万冊)の本を保有している。
メイン図書館は、地下一階、地上階六階の建物で四十万スクエアーフィート(約36,000m2)の広さをもつ。中央には一階から天井までの吹き抜けがあり、天井のガラスを通して自然光が各階に届くようになっている。二階にあるチルドレン・センターは、フロアーに座って本を読む子供たちで溢れていている。
三階にはインターナショナル・センターと称して、数十種類もの外国語の本が所狭しと並べられている。スペイン語、イタリア語、ギリシャ語、中国語、韓国語などのほかにスワヒリ語、ヒンズー語、モンゴル語などといった珍しい言語で書かれた本が並ぶセクションもある。日本語の本も、難しそうな歴史書から、小説、ミステリー、ガイドブックといった軽い読み物まで6つの本棚にぎっしりと詰まっている。メジャーな外字新聞と並んで読売新聞まで置いてある。
サンフランシスコがいかに国際化しているのかを物語っている。また、ゲイやレズビアン、バイセクシャル、性転換者などの歴史、文化などの情報を集めたゲイ・レズビアン・センターが三階の一角に設けてある。
サンフランシスコならではのコーナーかもしれない。各階、あちこちに用意された机では、本を読むだけでなく、ハイスピードのインターネット・アクセスが可能なプラグに接続をして、個人が持ち込んだラップトップを使用することができる。
もちろん、図書館備え付けのコンピューターも各階、いたるところに並べられ、インターネットのアクセスから図書館内の本のデータの検索までできるようになっている。
それらのコンピューターは、図書館のIDをもっている限り、図書館外自宅からでもインターネットを使って予約ができるようになっている。なかなか便利だ。コンピューターを使い飽きたら、図書館の屋上に出て、外気に触れながらでベンチに座ったり寝そべったりして本を読む。
メイン図書館は、一日中、のんびりと時間を過ごせてしまう楽しい空間を提供している。