恒例のゲイ・レズビアン・バイセクシャル・トランスジェンダーのパレード
今年も例年どおり6月最終日曜日、ゲイ・レズビアン・バイセクシャル・トランスジェンダーのパレードで、ダウンタウンが大いに賑わいだ。今年で34回目を数える。
いつものことながら、黒皮のジャンパーを素肌にはおり、タイトなパンツを履いて、軽快な音楽にあわせて体を動かしながら、街頭で声援を送る人たちに引き締まった健康的なボディーを披露する男性たちの姿が目立った。
同性愛者、両性愛者、性転換者の数が、サンフランシスコでは市人口の25%から30%と言われる。米国の中でもその数字がこれだけ高い割合の都市はない。
毎年10月31日のハロウィーンに仮装パーティが大々的に行われるカストロ地区が、そんな人たちが集まり住む地区だ。ダウンタウンからマーケット通りを西に向かって5キロばかり行った場所になる。地図を広げると、カストロ地区は市のほぼ真中に位置することになる。
肩を組んだり、手をつないで歩いている男性同士や女性同士のカップルががぜん多くなる、そんなカストロ地区を歩いていて、特に目を引くのがスポーツジムと男性化粧品の店だ。
スポーツジムは大きな窓が張り出していて、通りから中が透けて見えるようになっているのがだいたいだ。中でマッチョな男性たちが、マシーンを使って汗をかきながら、筋肉をもりもりに鍛えている様子が外から窺える。ジムでトレーニングをしている人たちは、見られることを意識しているし、通りがかる人たちは外からトレーニングをしている人たちの品定めをする。
見られることによって、健康で素適な体をつくりあげ、より魅力的でいようと努力をする側と、見ることによって、自分もそんなふうに美しくなりたいし、そんなボーイフレンドをもちたいと思う側との相乗効果でみんながジムに通うから、カストロ地区にあるスポーツジムはいつも混み合っているのかもしれない。
また、もうひとつ目につくのが男性化粧品の店だ。そこには、髭剃りあとのクリームや発汗の匂いをとるデオドラントなどといった基本的な化粧品のほかに、個々の皮膚の状態に応じた洗顔石鹸から化粧水や紫外線をコントロールするパウダーやリップクリーム、パックなどを並べている。もちろん、男性用のメークアップ品もそろっている。まさに女性顔負けの品揃えである。
同性愛者の中でも男性同士のカップルがとくに多いカストロで、彼らは体の内側も外側も、常により美しくいようと心がけているということだろうか。ボーイフレンドにいつまでも素適だと呼ばれ、心を繋ぎとめておくために努力をしているのだろう。
ところで、あなた、同性愛者であろうとなかろうと、大好きな人や気になる人に対してそんな努力をしていますか?ちょっとばかり耳が痛いはなしではないだろうか。