油脂

将来的には全面禁止に

マーガリンや揚げ物油などに入っているトランス脂肪の問題が大きく取り上げられている。
植物性油に水素を加えることによってトランス脂肪ができあがるが、こうすると油脂を硬化することができ長持ちするという。

ろいろな食品や料理にこのトランス脂肪が使用されている。とくにクッキーやビスケットなどさまざまなベイキング食品に使われることが多く、レストランでは揚げ物の油として頻繁に使われている。

トランス脂肪は血中内の悪玉コレステロールを増加させてしまう。そのために、心筋に酸素を与える大切な働きをする血管が詰まるという冠状動脈性心疾患を起こす原因になることが知られている。だから、米国食品医療品局は製造されるそれぞれの食品ラベルにトランス脂肪量の記載を義務づけている。消費者に体によくないものをどれだけ消費しているかを知ってもらおうというのがねらいのようだ。

今年、サンフランシスコ市議はレストランで出す料理の材料としてトランス脂肪を使わない、使っていないという申し出を出すと、市からそれに対して認定ステッカーを発行すると決定した。それによって客にトランス脂肪を使用していないことを知らせることができる。目下のところ、料理からトランス脂肪を追放するというのはレストランの任意行為だが、のちには任意でなく、トランス脂肪を使った料理を完全に禁止するという方向にもっていきたいのが市の意向らしい。
これはすでに全面禁止としているニューヨークやフィラデルフィアなどを追っての対策となる。

アメリカではその食習慣からか肥満度の高い人たちの割合が世界のなかでも飛び抜けて高く、肥満問題は早急に手を打たなければならない大きな課題となっている。さまざまな健康障害を生み出す肥満の原因となる食生活。それに重く加担しさらには悪化させるトランス脂肪の規制に、いくつかの市が取り組みだしているのは決して見逃せない。サンフランシスコもその先を行く市のひとつとして対策をねっているようだ。

これだけ忙しく毎日の生活に振り回されるようになると、食事の準備に時間をかけている暇がなくなってしまう。そうなると簡易なパッケージフードを食べてすませたり、外食をする機会が増えてしまう。食品や料理のなかにこういった危険な材料が頻繁に使用されてしまうと、知らないうちに血管がじわじわと細くなり血流が滞っていくことになる。目に見えないだけに怖いような気がする。

市のこの取り組みが少しずつ浸透していき、食品製造業者やひとりひとりの市民の知識向上に役立てば、トランス脂肪を使った製品が店の棚から消えてなくなることになるだろうし、自分で料理を作るときにも材料に気を配るようになるだろう。市の取り組みがうまく進んでいくことを願う。

(2008/03)
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