サンフランシスコのstreet shelter

スープキッチン

冬、サンフランシスコで雪が降ることはないが、雨がよく降る。
一年をとおして残りの季節、春、夏、秋に雨がほとんど降らないので、大切な水の源となる雨は、冬無くてはならないもの。でも、ホームレスの人たちにとって、雨の続く冬はつらい時期に違いない。

気温が零度以下になることは少ないけれど、雨に濡れたまま路上で寝泊りするのは想像もつかないほど寒いことではないだろうか。一晩だけだと思えばそれでも何とか我慢できるかもしれない。でも、その寒さが今日も明日もあさっても続くのだと思えば、どんな思いになることだろう。濡れた衣類を乾かして、体を温める手段さえ探すのは大変なことに違いない。

ホームレスの人たちのために、サンフランシスコ市は非営利団体などとともに "お金ではなくてケアを"をスローガンにして、新たに家を建ててそこにホームレスの人たちを収容したり、職のスキルや知識の向上を目的とした復帰プログラムを組んだり、ドラッグやアルコール依存症のためにホームレスになってしまった人たちのためのリハビリをしたり、職を斡旋したりするなどして、ホームレスの人たちが路上生活からもとの生活にもどれるような手助けをしている。

スープキッチンと呼ばれる食事を提供する施設やホームレスシェルターとして一時的な宿泊施設も設けてある。スープキッチンではボランティアの人たちによって作られた暖かい食事をとることができるし、夜間の気温が零度以下になるほど寒い夜利用者が増えるようだが、ホームレスのひとたちが一晩ホームレスシェルターで寝泊りができるようになっている。

景気悪化の風は米国にも吹き荒れている。
12月(2008年)のカリフォルニア州失業者率は9.3%と、数字がさらに悪化した。12月に入ってあらたに78,200人が職を失い、170万人もの人たちが仕事を探しているという。サンフランシスコの失業者率は7%を若干下回る。州の数字よりもよいことになるが、15人に1人が仕事を探しているという割合は決して喜ばしい数字ではない。

いくつか数字がでているが、2002年までの数字と比べると、市や非営利団体の取り組みが生きたのか、2007年のホームレスの数は減って改善がみられたようだが、さてさてこの景気の悪化で、次回ホームレスが数えられるときにはどうなっていることだろうか。
仕事を失うことが、すぐにホームレスにつながるわけではないけれど、景気の悪化とホームレスの数とのあいだには関係がありそうだ。

新しい年があけてまだ最初の月だからこそ、ことしが明るい方向に向かっていくことを切に願ってしまう。

(2009/01)
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