スタンフォード大学

共通テストのスコアだけが決定因子ではない

大学訪問。日本人にとってなにか聞きなれない言葉。高校三年生になるころから、めざす大学の訪問を始める。
いったん入学するとそこで4年間勉強するわけだから、自分の勉強の仕方にあった授業をしてくれるのか、どんな施設があるのか、生徒数は何人でどれだけ個人の問題にかかわってくれるのか、など。より多くのことを身に着けて卒業できる授業やカリキュラムを提供できる大学を選ぶために、下調べをしようというのがその目的だ。

大学訪問は一般的なことだけに、大学のほうも一年をとおしてそんな高校生を受け入れるツアーをくんでいる。単独で訪問してキャンパスを歩きまわって雰囲気を知ることはできるけれど、ツアーに参加すると、キャンパスを案内しながら実際に施設内に入って詳しい説明をしてくれるのでもう一歩入り込んだ形でその大学での学生生活を知ることができるようになっている。

高校二年生を終える前に国内共通テストを受け、スコアを基準にして、自分のやりたいこと、勉強したいことをもとに、高校のカウンセラーに相談をしてターゲットにする大学をいくつか設定する。そして、選んだ大学のなかでどの大学が自分の目的やスタイルにあっているのか、大学訪問によってさらに絞り込み、願書を提出する大学を決定する。

大学への願書は申込書、三年生になってから受ける国内共通テストのスコア、高校が発行する成績証明書、作文というのが一般的らしい。申し込みには個性を出すために学生時代に達成したことをアピールする。
たとえば、テニスクラブに所属して全国大会で優勝した、学校のサイエンスクラスで発表したことが大きく取り上げられた、ピアノを小さいころからやっていてどんなレベルまで達成したのか、チャリティ活動に参加してどれだけ募金を集めたのか、といったこと。
共通テストのスコアや勉強がどれだけできるのかはもちろん大切なことのようだけれど、それだけが合格不合格の決定因子ではないようだ。

そして複数の大学から合格通知を受け取ったりすると、高校卒業前に再度大学を訪問し最終的にどの学校にするのか決定するといった具合で、まさに大学選択に真剣に取り組んでいる様子が伺える。

このベイエリアには、カリフォルニア大学バークレー校やスタンフォード大学をはじめ大学がいくつかある。とくに、よい教授陣をそろえ高い水準の授業を提供するといわれているこの二つの大学へは下調べの訪問をする高校生が多い。その結果、ベイエリアやカリフォルニア州、アメリカ全土からだけでなく、海外からもこの狭き門をめざして入学を希望する学生が殺到するようだ。

こんな大学訪問。知名度の高い大学に試験をパスして入学さえできれば嬉しという日本人の感覚とは発想が異なっている。
大学でしっかり知識を吸収して卒業しようという姿勢がそこにあるように思える。なにか学ぶべきところではないだろうか。

(2010/03)
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