Operaのcafe

Operaのcafe

人気ナンバーワンは、イスラム諸国に見られる"ハマム"という蒸気風呂。

青空を見ることが少ないパリの冬。灰色の重たい雲が、底冷えする寒さをさらに強調しているかのよう。道では、かじかんだ手をこすりながら、おじさんが焼き栗を売り、厚いコートを着た人々は、足早に通り過ぎる。
歩きながら、焼き立てのクレープを「フーフー」しながら食べる幸せ。カフェに入り、赤ワインの熱燗にオレンジの輪切りと砂糖を加えた"ヴァン・ショー"を飲むときのほっとした気分。パリの冬は憂鬱だけど、夏には味わえない風情があり、楽しめないこともない。

寒い日はお風呂が一番!と考えるのは日本人。しかし、パリはシャワーのみのアパルトマンがけっこう多く、ゆっくり湯船につかる習慣も日本人ほどあるとは思えない。とはいうものの、最近では、「箱根の湯」など日本製の温泉シリーズ入浴剤も販売されており、フランス人もお風呂の魅力にとりつかれつつあるようだ。

パリでのお風呂人気ナンバーワンは、イスラム諸国に見られる"ハマム"という蒸気風呂。ここ1~2年大流行で、プールやエステティックサロンでもハマムの設備を取り入れているところが増えている。
サウナよりマイルドの温度の室内に、霧のような水蒸気がたちこめ、そこで1~2時間過ごす。マッサージ付きのハマムでは、プロが全身マッサージも行う。蒸気によって皮膚がやわらかくなるので、老化した角質を取り除くゴマージュ・マッサージが効果的。肌はつやつやになるし、すっかりくつろいでストレスは解消できるし。パリで話題になるのも無理はない。

日本でいう銭湯のように、イスラム諸国では社交場の役割を果たしているハマム。イスラム寺院や市場の中にあり、脱衣所と休憩所を備えた公共浴場だ。
ヨーロッパには、十字軍によって13世紀頃広まった。当時は、歓楽の要素が強かったが、その後、フランスに移民したイスラム諸国の人々のコミュニティの場として発達。今では、"美容と健康"の浴場として、すっかりパリジェンヌ&パリジャンに親しまれている。

パリのイスラム教寺院にあるハマムは、月、水、木、土が女性の日で、入浴料は約2000円、マッサージ約1200円。モデルや業界人に人気のレ・バン・デゥ・マレは、火と水が女性の日で、入浴料とマッサージが各約4000円。

さて、自宅で気軽に体を温める方法としておすすめなのが、アロマテラピー入浴。お風呂に入る時、エッセンシャルオイルを数滴落とし、少しのんびりと入浴するだけ。風邪のひきはじめにも効果的なジンジャー、ユーカリの香りで、冬を乗り切りたい。

冬のパリジェンヌのファッションポイントは、個性的なマフラー。寒さを防ぐ意味でも、首元のお洒落は欠かせない。活動的に外出するのも、寒さを忘れる秘訣のひとつだろう。

(1997/1/1)
こちらの記事もお役に立てるかもしれません。