医療保険パンフレット

定額の医療サービスアクセスプラン

米国では65歳以上の高齢者を対象にして国が提供する医療保険制度がある。
その年齢よりも若い人たちに対しては、会社が職員とその家族のために民間の医療保険制度に加入し、職員本人や扶養家族のための職員負担となる保険掛け金が毎月給料から差し引かれる。職員の保険掛け金は会社が100%カバーするケースが多く、扶養家族がいなければ、医療保険に入っているための本人の手出しは全くないことが多い。このような医療保険制度は国民皆保険制度をもつ日本と大きく違う。

この制度のもとでは、医療保険を職員のベネフィットとして提供できる会社で働いている人たちと、そうでない人たちとのあいだで医療行為へのアクセス度に大きな差が生じてくる。
医療保険を提供できない小さな会社や商店、レストランで働いている人たちやパートや日雇い、あるいは短期的にでも無職の人たちは、個人で医療保険に加入しない限り、医療保険はないということになる。

米国における医療行為や処方された薬の値段は異常に高額だ。医療保険なしとなるとその全額が医療行為を受けた本人負担となる。だから、医療保険をもっていない人たちは、病気になっても病院や医院を訪ねることができないのが現状。その結果、病気が非常に悪化してから、本人の費用負担がない救急治療を受けるということになる。

病気になっても早い時期に対処すれば早期に回復する。ところが、対処が遅れると病気が悪化していく。病気が悪化すれば回復に時間がかかるし、早期対処に比べて必要とされる医療行為も必然多くなる。
この問題をなんとかしようとサンフランシスコが打ち出したのが、市居住者で医療保険をもっていない人たちを対象に、個人で医療保険に加入するよりもはるかに低い掛け金で医療の基本的なサービスが受けられる医療サービスアクセスプランだ。

市はこのプランに年間200億円の費用をかける。そのうちの半分となる今まで保険のない人たちが、病気が悪化して救急施設で医療を受けた場合に支払うために市が組んでいた予算100億円をこの新しいプランに回すことになっている。
この新プランがうまく功を奏すれば、これまで救急医療行為に当てていたその部分に経費をかける必要がなくなるという計算だ。

本人の掛け金は収入によって異なるが、だいたい月35ドルぐらいというから個人で医療保険に加入するよりも格段に低くなる。人口75万人の市民のうち医療保険をもっていない8万人以上の人たちのためにこのプランが提供される。

医療保険については、長い間討議し続けている米国の大きな課題だ。このサンフランシスコのプランは国のなかでも初めての試み。
今年、これはまだ導入期にあって完全にスタートしきっていないが、来年初めに市内にあるすべての医療機関がこのプランを受け入れることができるようになる予定になっている。このプランの行方から学んで、参考にできる何かがないかと国が大きな目でサンフランシスコを注目している。

(2007/09)
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