何処に行っても花火など販売していない
夏休みの楽しみのひとつに、夕食を終えた後、家族みんなで庭に出て花火をするなんていうことがあった。丸くひろがってパチパチとはじけるテボタンなどはか弱い光の筋とその音が幼い頃の思い出だ。
ところが、一部の街を除いてサンフランシスコをはじめカリフォルニア州ではそんな花火を個人で楽しむことがご法度といえば、何か信じがたいような気分になってくる。
7月4日はアメリカ独立記念日。この日、大きな都市から小さな街までアメリカ全土でパレードが行われ国の独立をお祝いする。そして夜には打ち上げ花火が空を彩る。サンフランシスコでも盛大に花火が打ち上げられる。この花火は専門家によって行われるからか違法ではないらしい。ほぼ時間を同じくして、ドンドンという音がする方向を向けば、ベイ沿いにあるあちこちの街で打ち上げられる花火が距離によって大小に見える。国をあげてのお祝いだ。
こんなお祭り気分の日。そんなオフィシャルな花火だけでなく、個人的に花火でお祝いしたいという気分も沸いてきそうなもの。でも雑貨屋、マーケット、何処に行っても花火など販売していないから、法的に許されている街に出かけて行って花火を買い込み、違法でありながら自分の街に帰って花火をする人たちが出てきてしまう。
雨は冬の時期に限ってしか降らないカリフォルニア。今年は異常気象のためか5月になっても雨の日があった。でも、いつもなら3月ごろから雨が減りそのあとぴったりと一滴たりとも降らなくなる。そして次の冬が来るまで雨はお預けとなる。
こんな気候だから、誰も手入れをしたり水をやったりしない空き地や高速道路脇やベイから見渡せる丘や山手などになると、冬の間に大きく育った茂みや木々が、春からしばらくして気温が上がり夏がやってくる頃にはどんどん枯れ色となり自然発火でも起こりそうなほどに乾燥していく。
そんなカラカラ状態のとき、花火の火の粉でも散ろうものなら惨事が予想されるも当たり前のこと。花火は違法だというのも納得がいく。それでなくても、夏の初めになるとどこかの丘や山で火事が発生してしまう。乾燥しきった茂みや木々にいったん火がつけばあっという間に火は燃え広がってしまう。そんなリスクは最小限にしたいところだ。
この独立記念日、消防署の人たちは特に監視を強め巡回をしたりする。アメリカ独立をパーティー気分でお祝いするのはいいけれど、火災を招く危険性をはらんでいる個人的な花火はあきらめて法律を厳守したい。