加齢とQOL(生活の質)
日本女性の平均寿命は、厚生労働省の平成22年簡易生命表によると、世界一の86.39歳です。男性は、世界2位の79.64歳。生命量の長さでは常に上位を保っています。それでは、健康的でイキイキとした自分らしい幸せな生活:QOL(Quality of Life)である「健康寿命」はどうなのでしょう。
既に、2002年、WHOの the world health reporot newsに於いて、日本人の女性は約10年間、男性で約4年間、自分の望む健康で快適な生活よりも、むしろ身体的には不自由さを感じていると思える期間があると発表しています。
Aging(加齢)は表面に現れてくる時期や問題に個人差こそあれ、誰にも避けて通れないできごとです。ウエルエイジング(well-aging)=上手に年齢を重ねられれば、もっと自分らしい楽しい生活を健康的で魅力的な状態で送ることができます。ココロとカラダのバランスを保ち、満足のいく生活や年齢を重ねて行くには何をどうすれば良いのでしょう。
カラダのケア
厚生労働省は、2011年、カラダの健康を如何に保っていくかというプロジェクトをスタートしました。
1.適度な運動。2.適切な食生活。3.禁煙。
の3本柱から構成されています。生活習慣病の予防などを推進するスマートライフプロジェクトです。これは、単に長生きをすることに重きを置くのではなく、「健康寿命」を伸ばすことに力を入れています。
ココロ(精神面)のケア
カリフォルニア州立大学サンディエゴ校(UCSD)医学部、スタイン加齢研究所の研究チームによって、興味深い研究結果が報告されています。サンディエゴ在住の女性1200名(60~89歳)以上に「性生活に関する満足度」の調査をしました。
結果は、60~69歳の67%、70~79歳の60%、80~89歳の61%の女性が総合的に性生活に満足しているというものでした。
同精神医学科のWesley K. Thompson准教授は、「セックスに対する満足度は、年齢が重要な要素ではありません。多くの高齢者は年齢を重ねていく上で快適なセックスを楽しむ方法を会得していきます。性生活に満足している気持ちは、性的な能力に関係なく、QOLの維持と密接な関係があり、健康的に年を重ねていく上で心理的側面の強化も果たしている可能性があります」と発言しています。
高齢化が急速に進んできている日本人社会です。年齢と共にココロもカラダも若い時と違って思わぬ方向に変化してきます。ためらうことも多く自身を失ってしまうこともありますが、年を重ねても満足度の高い質の良い生活を送ることができるよう、ちょっとした努力の積み重ねと気持ちの切り替えが必要なのかもしれません。
参考記事米国老年医学会誌
For Women, Active Sex Life May Mean Better Aging.