23.しっかり「もらってゆく」患者さん。「もらってタンスに」

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薬がタンスのこやしに

バブルのようなお薬をバブルのようによく服む皆さんが、何故、副作用で身体をこわさないかというと、自分では服まないでタンスに服ましている。昔はタンスのこやしと言われた着物、のかわりに、いまや薬がタンスのこやしになっている。

これは、お年寄りに多いことは前から言われてるし、そのお薬の服用率は(棄却率は)何%という研究もあるくらいです。これだけとっても、降圧剤を服用している群と同じ形の偽薬を服用している群とで、脳卒中や心筋梗塞などの発病率に差があるか、という疫学研究が、いかにあてにならないかわかります。

それはともかく、タンスに服ましているのはお年寄りだけかと思ったら、若い人にも結構多い。漢方薬を服用しはじめても、それまでの先生にはっきり言えないし、その先生に叱られるから、黙ってもらっていようという方も多い。そうなると服用してもらってると思って、いろいろ血圧測ったり検査している方はバカみたいですね。

どうして、「もらってタンスに」が平気で行われるかというと、保険でお薬がタダ同様だからです。本当は高い保険料を税金と一緒に支払ってるのを忘れて、(あるいはそれだから余計に)服んでも服まなくてもお薬をかかえて帰る。それで気がすむのならいいじゃないの、安いものだ、という見方は、皆さんをバカにしているのかどうか。

医者の側からいうと、とにかく患者さんにわたしてしまえば収入になるのだからあとは野となれ山となれ。ほんとにわかってる先生は「どうせ山のように服用しても副作用おきない程度のお薬ですから、つまり副作用がないということは作用もない、薬として人を動かす力のよわいものですから人に服まれてもタンスに服まれても大差ないのです」と言います。これはわかっているいい先生です。でも、診察室でこれを言ったら皆さんその先生の所へは行きませんね。

「この薬は効くぞ-」と嘘かホントか大声で言って「服まなくちゃいかんぞ-」と言われて皆さんがたくさんお薬をもらって帰り、タンスに服用させて、皆さんけっこう長生きする。
こういう構図が定着しているわが国は平和ではでありますが、少なくとも合理的ではありません。これからの若い患者さん達は、どのようなかかわり方を医療機関としようとしているのでしょうか。

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