老化の速度が分かる18個のバイオマーカー

老化のバイオマーカー

米国 Duke University (デューク大学)、英国 King’s College London (キングス・カレッジ・ロンドン)、イスラエル Hebrew University of Jerusalem (ヘブライ大学)、ニュージーランド University of Otago (オタゴ大学)の研究チームによって分かった老化速度に影響するバイオマーカーは次の18種です。

1.HbA1c (ヘモグロビン・エーワン・シー)

過去1~3ヶ月間の血糖の平均的な状態を見る。
日本糖尿病学会では、NGSP(National Glycohemoglobin Standardization Program) 国際基準値を2012年4月1日より使用している。糖尿病のコントロール状態がわかる。
基準範囲:5.5%以下(日本人間ドック学会)

2.心肺持久力 (Cardiorespiratory fitness)

心肺持久力 (CRF)は、心肺適応能とも呼ばれ、心臓や肺の機能に依存する身体のスタミナや粘り強さを見る。
基本的運動能力(筋力・瞬発力・柔軟性など)の内の1つである。最大酸素摂取量 (VO2Max)という指標により評価される。

3.ウエスト/ヒップ比 (Waist-hip ratio)

ウエスト/ヒップ比(WHR)は、ウエスト周囲径をヒップ周囲径で割った値である。
肥満の体型指標として用いられる。肥満者の体型を「洋なし型肥満」と「リンゴ型肥満」のタイプに分ける時の判断基準となる。
ウエスト(cm)/ヒップ(cm)=ウエスト/ヒップ比(W/H比)

4.肺活量1秒率 (Forced vital capacity ratio)

一秒率 (FEV1/FVC ratio)は、1秒間に肺活量のうち何%の空気を吐き出すことができるかを調べる数値。
1秒量/肺活量×100=1秒率 (FEV1/FVC%)
基準範囲:70.0%以上(日本人間ドック学会)

5.肺活量1秒量 (Forced expiratory volume in one second)

一秒量(FEV1)は、最大吸気位(ピークフロー)から、最初の1秒間に吐き出した空気の量。

6.平均動脈圧 (Mean arterial pressure)

平均動脈圧(MAP)は、心臓血管系の老化を判断する数値。
脈圧(最高血圧-最低血圧)/3+最低血圧=平均動脈圧(MAP)に近い数値が求められる。

7.体格指数 (BMI) (Body mass index)

体格指数 (BMI)は、身長に見合った体重かどうかを判定する数値。
体重(kg)/身長(m)2=BMI
基準範囲:18.5~24.9(kg/m2)(日本人間ドック学会)

8.白血球テロメア長 (Leukocyte telomere length)

白血球テロメア長 (LTL) は、細胞老化の指標とされる白血球のテロメア(染色体の末端部にある)の長さ。「細胞分裂時計(mitotic clock)」と呼ばれており、加齢と共に徐々に短小化する。

9.クレアチニンクリアランス (Creatinine clearance)

クレアチニンクリアランス (CCr) は、血中のクレアチニンと尿中のクレアチニンの値を測定し、腎臓機能を調べる。

10.尿素窒素 (Urea nitrogen)

尿素窒素(UN)は、腎臓の機能をみる指標。

11.リポたんぱく質(a) (Lipoprotein-a)

リポたんぱく質(a) (Lp(a))は、LDL(コレステロールを末梢組織に輸送する)と似ているリポたんぱく質(疎水性が高く水に溶けない脂質が、血液中を輸送するため、アポたんぱく質と結合したもの)で、動脈硬化の指標の1つである。

12.中性脂肪 (Triglycerides)

中性脂肪(TG)は、体内の中でもっとも多い脂肪で、糖質がエネルギーとして脂肪に変化したものである。数値が高いと動脈硬化の危険因子となる。
基準範囲:30~149(㎎/dL)(日本人間ドック学会)

13.歯茎の健康 (Gum health)

歯周病など、歯茎の健康状態を見る。

14.総コレステロール (Total cholesterol)

総コレステロール(TC)は、血液中に含まれている全てのコレステロール(HDLやLDLなど)の総量。数値が高いと動脈硬化の危険因子となる。
基準範囲:140~199(㎎/dL)(日本人間ドック学会)

15.白血球数 (White blood cell count)

白血球数 (WBC) は、主に炎症や感染症で増加する。数値が高い場合は細菌感染症にかかっているか、炎症、腫瘍の存在が疑われる。
基準範囲:3.2~8.5(103/μL)(日本人間ドック学会)

16.高感度C-反応性たんぱく質 (High-sensitivity C-reactive protein)

高感度C-反応性たんぱく質 (hs CRP) は、細菌感染および組織の炎症・外傷などが原因で上昇する急性の炎症マーカー (CRP) でわかりにくい慢性炎症(動脈硬化)の微少な炎症を捉えるマーカーである。

17.HDL (High density lipoprotein)

高密度リポたんぱく質(HDL)は、善玉コレステロールと呼ばれる。余分なコレステロールを血管壁から取り除く働きがある。HDLコレステロールの低下は、動脈硬化の危険因子となる。
基準範囲:40~119(㎎/dL)(日本人間ドック学会)

18.アポリポたんぱく質 B100/アポリポたんぱく質A1比 (Apolipoprotein B100/Apolipoprotein A1)

アポリポたんぱく質 B100/アポリポたんぱく質A1比 (ApoB100/ApoA1)は、ApoB100(LDL:コレステロールを末梢組織に輸送の主要な構成要素であるアポたんぱく質)/ApoA1(HDL:高密度リポたんぱく質の主要な構成要素)比である。急性心筋梗塞の危険予測因子となる。

基準値参照
公益社団法人日本人間ドック学会:検査表の見かた
e-ヘルスネット(厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト)