17.皮膚の過敏症

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皮膚のアレルギーとして一括

皮膚の過敏症というと、特殊のものを除いては、湿疹と蕁麻疹が双璧です。湿疹はその字義通りにいうと、ジクジクと湿った発疹ですが、衛生状態・栄養状態がよくなった昨今では、ジクジクとした湿疹にはめったにお目にかかりません。たいていが乾燥型の湿疹という形をとります。
「乾」を「湿」と表現するのはおかしいですから、「乾疹」という用語がそろそろ生まれてもよいと思います。

さて、皮膚のトラブルでよく見るのは、ネックレスや時計のバンド、または下着の圧迫場所などでよくできる接着皮膚炎。これらは何とか工夫すれば避けられますが、もし下着の材質自体に(例えばパンストに反応して)問題がある時は、純綿のパンストなどありませんから、とても困ったことになります。

治しにくい湿疹のひとつは、臀部や股間部、あるいは脇の下にくりかえし出現するもの。
場所的には水虫と同じ原因でおこる頑癬(昔はインキンなどといいました)との類似性を思わせます。何年も何年も患者さんを困らせることが多い。

直径2~5センチくらいの平面的にもりあがった乾いた「せんべい状」のものが、後ろ首から襟足のあたりまでできている方。これもなかなか難しい。皮膚科でステロイド入りのクリームを処方され、その時はごまかせるけど、再発していつまでも治らない。医学用語では「ヴィダール」と呼びます。

この大きさがもう少し小さく、コイン状に、特に男性の膝から下に集中して苔癬」出現し、とても痒く、場所がらついついひっかいてしまい、年余にわたって治らない湿疹もやっかいです。虫刺されが原因で四肢にパラパラと拡がる「痒疹」も、その名の通り痒みが強く、数年かかることもあります。

主婦湿疹とよばれる手指・手掌の痛みと乾燥角化を主とする湿疹もやっかいです。転居して水道の水がかわるとケロッと治ってしまったり、またもとの住居にもどると出現したりする例もあります。最近では「花屋さん」が、切り花の保存剤でやられてしまう例もあります。

以上、よく見る皮膚の湿疹ですが、もうひとつは蕁麻疹があります。蕁麻疹はいくら慢性とはいっても、何十年も苦しむことはありませんから、あまり気にしないことです。

以上の皮膚の病変は全部皮膚の過敏症、皮膚のアレルギーとして一括することができます。ちょっと違うように見える顔のニキビなども、実は皮膚のアレルギーがもとになっています。

当院に来られるような患者さんは、長年にわたって皮膚科に通院されていた方が多く、どうしてもステロイド軟膏に頼りがちです。
当院では原則としてステロイドクリームは出しませんから、漢方薬の効果が現れるまで、一定の我慢をしていただく必要があります。

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