14.やせすぎ・太りすぎ

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空腹の楽しさ

男性の背の高さは普通であるのに、学生の頃をふくめて50キロを超えたことがありません、という方が時々います。これはたしかに「やせすぎ」でしょう。
こういう方でも、食欲やお便は普通で、体力・スタミナはかえって一般の人より粘り強いなどという方は、これは上々で問題はありません。

一方、食欲があるような、ないような、小食でちょっと食べすぎると下痢し、体力に全く自信がなく、青白い顔をしている方は、例えば朝鮮人参などが入っている漢方薬で、胃腸の力を鼓舞して吸収力を高め、自然と体重が増えるようにもっていきます。うまくいけば便通も整い、体力に自信が持てるようになるそれこそ養命酒などを愛飲されたらよいでしょう。

ストレス性の胃炎とか、神経性胃炎とか、胃下垂とか、いろいろ言われることもあるでしょうが、そんなことはどうでもよいことです。こういう方は体に気をつけるためか、決定的な病気にはならず、かえって長命なことが多いような気がします。

たいへん難しい「やせすぎ」は、思春期の女性に多い「拒食症」です。アルコール中毒が、人間関係のとり方が苦手な人にとりつくように、家族や学校や世間と、関係のとり方に困惑を感じている若い女性が、それを意識化できぬまま(例えば作文を書く、絵を描くなどというのは、困難を意識化する有効な手段)、食事摂取困難という形で表現している青春の蹉跌です。

これは拒食という形をとったり、極端な偏食という形をとったり、極端な過食となる場合もあります。そしてこれは大なり小なり若い時期に皆さんが経験していることです。漢方薬には、気の滞り、血の滞りとして対処しますが、時間のかかるカウンセリングが必要なことも多く、その場合は心療内科や精神神経科の受診をすすめます。

普通の背丈で80キロ以上あれば、男女とも「太りすぎ」といってよいでしょう。医学的に「太りすぎ」は「やせすぎ」より、評判が悪い(成人病だ!短命だ!)。また女性の場合は、スタイルの問題がそれらにからむので、よけい当人はたまらぬ思いをしているでしょう。

御当人が活発な生活ができているなら、私はあまりうるさく言わないでよいと思います。当人が息切れするとか、身体が重くて不便だとか、具体的に感じている場合や、すでに糖尿病など成人病が発現している場合は、ダイエット作戦をいろいろ伝授します。

私は、一日断食のような小さな断食をすすめます。「空腹の楽しさ」を一度味わってしまうと、たまの断食が苦にならず、楽しみながら体重を落とすことができます。

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