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孤食

柏フレイル予防プロジェクト2025

加齢に伴い、骨格筋量が減少したうえ、筋力や歩行速度の低下が見られるようになると「サルコペニア」が疑われるようになります。放置しておくと、坂道を転がり落ちるように、加速度を付けて「フレイル」に突入しかねません。

東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授が、2012年/平成24年から、千葉県柏市在住約2,000名(平均年齢73歳)の自立、または要支援の高齢者を対象に行なっている「大規模高齢者コホート調査(柏スタディ)」で、「サルコペニア・フレイル」予防として、高齢者の「社会参加(社会との関わり)」と「栄養(食育)」・「運動」が重大な要素であると報告しています。

心身共に健康で、社会的にも幸せだと思える生活の質の維持は、長い人生において重要なテーマです。自分自身だけでは、克服できない問題も多くあると思いますが、自己の努力によって、違いがでてくることもあるのではないでしょうか。

「柏フレイル予防プロジェクト2025」東京大学 高齢社会総合研究機構2017年/平成29年3月16日

柏スタディから見えてきたこと(~特に「栄養」と「社会性」の視点から~)

  1. 「孤食」は、社会的フレイルの傾向が強くなり「身体的フレイル・サルコペニア」への危険度が増す。
  2. 孤食の中でも、「同居家族がいるのに孤食」は、「独居孤食」より、抑うつ傾向が強くなり食生活も偏り、「サルコペニア・フレイル」に陥りやすい。
  3. 社会的フレイルの傾向の上昇は、身体的フレイルのリスクも高くなり、悪条件の重複は、「well-being : 身体的・精神的・社会的に良好な状態」が減少し、要介護認定や総死亡率が上がる。

既に65歳以上の男女を合わせると、社会的フレイルは、約21%、5人に一人となる。特に、女性は、高齢化するほど増加傾向が見られる。

サルコペニアの危険度セルチェック「指輪っかテスト」

「サルコペニア」と診断される基準の必須条件に「骨格筋量の減少」があり、原因の一つに食欲低下・低栄養などが、危険因子として上げられています。飯島教授は、簡単にサルコペニアの危険度をチェックする「指輪っかテスト」を考案しました。

指輪っかテスト
健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)より

イスに腰掛け、自分のふくらはぎ(一番太い部分)を、左右の親指と人差し指同士で丸く囲む。

  • 囲めないタイプ(親指もしくは、人差し指がくっつかない)。
  • ピッタリくっつく、ジャストフィットタイプ。
  • ゆるく隙間が出来るタイプ

結果は、隙間が出来る人は、サルコペニア危険度が6.8倍。2年以内の、サルコペニア新規発症リスク、3.6倍になる。サルコペニア危険度は、他のデーター危険度と連動しています。

筋量と筋力の減少は死のリスクを伴う

「サルコペニア」は、筋肉量の減少に加えて、筋力もしくは、歩行速度(身体機能)が低下した状態です。「フレイル」の最も大きな原因とされています。

1989年、Irwin Rosenberg 博士は、加齢と関連して筋肉量が低下していく症状をギリシャ語で「sarx (筋肉)+penia (喪失)」を合わせた造語「サルコペニア」と提案。

2009年 欧州老年医学会は、European Working Group on Sarcopenia in Older People (欧州サルコペニア・ワーキンググループ)を結成。
2010年 European Working Group on Sarcopenia in Older People : EWGSOP は、サルコペニアの定義を「筋量と筋力の進行性かつ全身性の減少に特徴づけられる症候群で、身体機能障害、QOL の低下、死のリスクを伴うもの」と発表。

握力低下はサルコペニアの重要なマーカーで寿命にも関係。

サルコペニアの原因

「一次性サルコペニア」は、加齢による。(65歳以上の高齢者)
「二次性サルコペニア」は、活動不足・疾患・栄養不足に関連。
活動関連:生活不活発病のような、寝たきり・不活発なライフスタイル・無重力状態が原因要素。
疾患関連:重症臓器不全(心臓、肺、肝臓、腎臓、脳)・炎症性疾患・悪性腫瘍・内分泌疾患に付随。
栄養関連:吸収不足・消化管疾患・食欲不振を起こす薬剤の使用等に伴う摂取エネルギー及び/又はタンパク質の摂取量不足に起因するもの。

サルコペニアの3段階

第1段階:「プレ・サルコペニア」
  1. 骨格筋量の低下
第2段階:「サルコペニア」
  1. 骨格筋量の低下(必須)に加えて
    次の2.3.のいずれか。
  2. 筋肉能力(筋力)の低下
  3. 筋肉能力(身体能力)の低下
第3段階:「重症サルコペニア」
  1. 骨格筋量の低下(必須)に加えて
    次の2.3.の両方
  2. 筋肉能力(筋力)の低下
  3. 筋肉能力(身体能力)の低下

サルコペニアの診断の基準値

●サルコペニアの診断によるカットオフ値(欧州)

  1. 骨格筋量の低下:DXA法(二重エネルギーX線吸収測定法)かBIA法(生体電気インビーダンス法)などで測定。
  2. 筋肉能力(筋力/握力計)の低下:男性<30kg・女性<20kg
  3. 筋肉能力(身体能力/通常歩行速度)の低下:4mコースで0.8m/秒以下

●サルコペニアの診断によるカットオフ値(アジア)
2014年 Asian Working Group for Sarcopenia:AWGS(アジア・サルコペニア・ワーキンググループ)は、アジア人と欧米人では、体格や生活習慣が異なり、民族によって筋力や筋肉量に違いが生じることが考えられるため、アジア人独自の基準値を定めました。

  1. 骨格筋量の低下:DXA法(二重エネルギーX線吸収測定法)かBIA法(生体電気インビーダンス法)などで測定。
  2. 筋肉能力(筋力/握力計)の低下:男性<26kg・女性<18kg
  3. 筋肉能力(身体能力/通常歩行速度)の低下:6mコースで0.8m/秒以下
2016年 ICD10(国際疾病分類代10版)に追加される。
2016年 日本肝臓学会は、肝疾患に特化した診断基準を提案。

 
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