IT社会に急増する睡眠障害
「春眠暁を覚えず~」は、毎年思い出す寒い冬から温かい春の季節を感じるメロディーのよう。近年は、ゆっくりと穏やかな春の日差しを楽しむ暇も無く、突然、夏日が訪れ、寒暖の差が厳しいので、体調管理を怠ると不調続き。回復基調になかなか戻りません。
「眠り=睡眠」人生の1/3は締めているであろう大切な時間です。寝起きが悪く、その上、寝入りも悪くよく祖母に小さい時は、「寝くじりがひどく預かると大変だ!」と言われていました。学生時代から、夜更かしはOK!の夜型人間。スッキリ、さっと起きれられる朝型人間、相方をうらやましいな~と思います。
2014年3月厚生労働省が、2003年3月に「健康づくりのための睡眠指針」(快適な睡眠のための7箇条)をまとめて以来、以前の7箇条から5項目増やし、「健康づくりのための睡眠指針」(睡眠12箇条)を発表しました。健康日本21の基本方針では「休養・こころの健康」において、睡眠への対応に関して「睡眠不足は、疲労感をもたらし、情緒を不安定にし、適切な判断力を鈍らせるなど、生活の質に大きく影響する」と、睡眠の対策を柱の1つにあげています。
高齢化、環境の変化(インターネットなど)、職場の事情(シフト制)、ストレス、食の事情などから、「いつも睡眠不足」「熟睡できていない」「更年期なのか寝入りが悪くスッキリしない」と感じている人が増加傾向にあるようです。日本人の成人約10人に1人が、睡眠障害の1つ、不眠症に悩まされていると言われるようになりました。
『良質な睡眠』の大切さを3本にまとめてみました。
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米国ミズーリ州セントルイスにあるワシントン大学医学部(Washington University School of Medicine)の神経学部David M. Holtzman博士達のグループにより、大学内のCharles F. and Joanne Knight Alzheimer’s Disease Research Center (Knight ADRC)に登録しているボランティア145名( 45歳から75歳まで)を対象に、人での睡眠不足と早期アルツハイマー病に関する研究が初めて行われました。参加者のうち、32名は前臨床アルツハイマー病(無症状ではあるがアミロイド斑を持っているかもしれない)ではありますが、全員認知機能は正常です。
睡眠効率が悪いとアルツハイマー病のリスクが高い?
同じ研究者のグループは、以前、マウスによる研究において、睡眠不足とアルツハイマー病の特徴である脳のアミロイド斑(老人斑)とは関係がある事を明らかにしました。これにより、暫定的ですが、アルツハイマー病のアミロイド斑(老人斑)が睡眠を邪魔しているか、睡眠不足がアルツハイマー病のアミロイド斑(老人斑)に働きかけて促進させているかもしれないという研究の方向性を得ています。
「この相互(睡眠不足とアルツハイマー病のアミロイド斑)関係は、アルツハイマー病の初期症状の早期発見に繋がるかもしれません」 「早期アルツハイマー病の兆しのある人に治療を始めるとき、睡眠状態に改善が見られれば、新しい治療が成功してるかどうかという治療方針の役に立つかもしれないでしょう」 とDavid M. Holtzman博士は述べています。
参加者は、2週間、就寝時間、起床時間、昼寝の回数など、睡眠記録を毎日記録し、研究者達は、参加者の動きを感知できるセンサーを手首に着けてもらい活動レベルを観察しました。結果は、前臨床アルツハイマー病の参加者の方が、アルツハイマー病と判断する材料のない参加者に比べて、睡眠の効率が劣っていて、尚且つ、ベットに入っている時間は長いけれど睡眠は少なくなりました。
「具体的に言うと、最も睡眠効率の悪い参加者は、最も睡眠効率の良い参加者より、5倍も前臨床アルツハイマー病になる可能性が高かったのです」と、研究グループの1人である神経学の准教授 Ju 博士は説明しています。(訳:tori3tori3)
Washington University in St. Louis 11 March 2013
認知症のとても簡単なテストの1つ「丸い円の中に時計の針、10時10分を描く」があります。ちょっと、ドッキリです。今は、デジタルの時計が多く数字は見ても、針で時間を知る機会が減りました。一瞬、エっ!と考えてしまいます。まだ、理解できて、少し安心しましたが、お母様のテストにつきあって病院から戻ってきた友人が、「チェックテストの問題、出来ないかも~」と落ち込んでいたのが、人ごととは思えなくなりました。
米国マサチューセッツ州ボストンにあるブリガム・アンド・ウィメンズ病院(Brigham and Women’s Hospital)の研究グループは、男性にとって不眠症が、死亡リスクの増加と関係が深いことがわかりました」と発表しました。
アメリカ人の1/3が睡眠障害
米国において、不眠症のようなごくありふれた睡眠障害は、人口の1/3の人達が悩まされています。 「不眠症は、高齢者の健康にとって共通の課題です。日常的な睡眠障害と死亡リスクの影響との関係は、はっきりとしていませんでした」「この研究で、不眠症特有の症状を経験している男性は、心血管系の疾患による死亡リスクがゆるやかですが増加傾向があると明らかになりました」「具体的に言うと、入眠障害と非回復性睡眠(寝ても寝ても疲れが抜けない状態)の場合、死亡リスクが高く、特に死亡率は心臓血管疾患と関連していました」と、同病院ネットワーク医学チャニング部門の主任研究員Yanping Li博士は述べています。
睡眠不足は健康全般の危険因子
研究者達は、男性医療従事者の疫学研究(Health Professionals Follow-up Study)において不眠症の症状があると自己申告をした23,000人の男性を、2004年からスタートして2010年までの間、6年間追跡調査しました。追跡の結果、政府や家族の情報により2025名の死亡を確認しました。生活要因や年齢、他の慢性的な疾患などを調整したのち、研究者達は、6年間に渡る追跡調査で心臓血管疾患に関係のある男性は、死亡率が、不眠症状を申告しなかった人に比べて、それぞれ55%と32%高くなるなることがはっきりしました。
「睡眠不足が病気に影響を及ぼすだけだなく、私達の寿命にも影響を与えるかもしれないとわかった、今、質の良い睡眠と心地よい眠りを得ることは、しばしば見過ごされてきたが、睡眠不足は、健康全般において重要で修正可能な危険因子であると認識することです」と同じくブリガム・アンド・ウィメンズ病院のネットワーク医学チャニング部門のXiang Gao博士が付け加えています。(訳:tori3tori3)
Brigham and Women’s Hospital 20 november 2013
何事も心配なく、ゆったりと友人や家族と仲良く年齢を重ねてゆけるのが、理想的なことだと思います。しかし、多かれ少なかれ心配事を抱えている人が増えて来ているのが現実。長寿大国日本です。せめて、若いときから健康にココロを配り、出来るだけ元気でいられるように、自分自身も努力して、情報を得て活用していければと思います。
この研究は、 MsFLASH (Menopause Strategies: Finding Lasting Answers for Symptoms and Health)グループにより、無作為化比較試験(複数のグループに参加者を割り当てて、異なった介入を行い、その結果をグループの間で比較する実験)で行われました。参加者249人は、普段あまり運動をしない健康な女性を、ヨガと適度な有酸素運動とどちらも行わないグループに分け、オメガ3脂肪酸のサプリメント、若しくはプラセボを摂取しました。
MsFLASH (Menopause Strategies: Finding Lasting Answers for Symptoms and Health)は、女性の特有の健康問題に焦点を当て、特に、更年期の症状を緩和するための新しい治療法などを研究するために、全米5つ(ボストン、インディアナポリス、オークランド、フィラデルフィア、シアトル)の臨床センターで構成されているのが特徴です。
「更年期のホットフラッシュや寝汗の治療として唯一食品医薬品局に承認されているのがホルモン療法ですが、最近、ホルモン療法を選ぶ女性が減ってきています」 結果は、「ヨガのグループは、質の良い睡眠を取れるようになり、鬱状態をやや改善しました。有酸素運動のグループは、睡眠を少しだけ改善し、不眠症や鬱状態が以前よりはほんの少しですが良くなったように思います。統計的に優位とは言えませんけれどね。オメガ3脂肪酸は、ホットフラッシュにも寝汗、睡眠など全てにおいて効果はありませんでした」と Katherine Newton博士は述べています。(訳:tori3tori3)
Group Health Research Institute 27 September 2013
ヨガは、疲れたカラダを無理なくほぐし、弱ったココロに穏やかさを取り戻すことができる優れた呼吸と動きの作用だと思います。誰からも強要されることなく、自分自身のペースで行えるので、ゆっくりと自分と向き合いながらマイペースで行えます。30代半ば、仕事で疲れ切っていたとき、友人が一緒に連れて行ってくれました。気持ちがほぐれ、爽やかで穏やかな気分に満たされ、腹式呼吸の重要性を学んだのもその時です。イライラするときに、実行すると良いようですが、「後悔先に立たず」で先に言葉が出てしまいます。(ゴメンナサイ)
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