16.キレイな家が住み心地がいいとは限らない。

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バスローブ

友達のY子さんの家は、いつも驚くほどにキレイに整理整頓されています。驚くほど!です。
床はピッカピカに磨き込まれ、もちろん埃はひとつもなく、髪の毛なんて見つけたらすぐにササッと拭いて回っています。インテリアも美しく、センス良く、いつ訪ねてもキチンと納まるところに納まっている印象です。空気だって清浄機なんていらないほど、澄んで感じるから不思議です。

収納スペースもそう。きっと収納スペースは外見を美しく保つためにグッチャグチャなのだろうなどという、こちらの意地悪な考えを嘲笑うかのように、収納スペースもそのままオープンにしておいていいほど、きれいに整頓されているのです。はじめて彼女の家を訪れた人は、決まって言います。「モデルハウスみたい」。本当にそうなのです。あぁ、こんなにステキな家に住んでみたいなぁ、ここまでキレイならご主人はいつも帰ってくるのが楽しみだろうなぁ。そして、私達はいつも感嘆して、感心して、彼女の家を後にします。

でも、実は、私はいつも思っています。そんなことを言うと軽蔑されそうで、決して口には出せないのですが、「なんだか落ちつかない。3時間が限界だぁ」だって、本当にそうなのです。彼女の家に較べたら、モノは多い、整理整頓はされていない、髪の毛だってきっといっぱい落ちている、そんな我が家のほうが落ち着くのです。

私は考えました。なぜ、そうなのか。ひとつは習慣。何年間もそういう感心しない環境に身を置きすぎて(決して威張れることではないけれど)、そちらのほうが落ち着くようになった。ひとつは心の余裕。どんなことでも(人間でも)そうだけど、あまりにきちんとしていると逆に疲れてしまうもの。少しくらい抜けてるほうがホッとするものです。そしてもうひとつ。これが何より大切だと思うのですが、無理をしない環境作り。つまり、こういうことです。

Y子さんの家に行くと、なぜか私たちは触発されてしまいます。こんな空間に暮らしたい!Y子さんに聞いてみると、別に難しいことではないらしい。気がついたらマメに(多分、毎日何回も)気づいたところを掃除したり、整頓すればいいだけ。「だけ」が「だけ」ではない私たちなのに「なんだぁ、それだけでいいのかぁ」と「だけ」をしようとして「だけ」じゃ済まなくなるのです。

小さな子供のいる友達は、せっかくきれいにした床に子供が牛乳をこぼしただけで「いつもの100倍は腹がたった」と言うし、いつも洋服を脱ぎ散らかす夫を持つ友達は「いつもなら、そのまま放置して明日まとめて整理しようと思うのに、その場で整理しようと思うから(夫に)腹がたちっぱなし!」と笑いました。
そして、私が出した結論。無理をしないこと。もちろん、昨今話題になったようなゴミ溜めのようなスペースに暮らすことは、感心しませんが、多少、埃っぽくても、モノがちらかっていても、自分が気にならない範囲なら構わないと思うのです。

きれいにしなきゃ絶対ダメと思って、神経質になるほうがずっと良くないと実感しました。誤解のないよう追記しますが、もちろん、Y子さんのように出来ることがいちばんの目標なのですが。というわけで、私はこのことを夫に報告したのです。
夫は笑いながら「なんだか、欺瞞な気もするなぁ。まっ、いいんじゃない」と言いました。

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