19.お味噌汁のお出汁をちゃんと取って、ジムに通う。

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キッチン

もう1年近く前の話です。仲良しの年下の友達が失恋をしました。彼女にとっては(も?)とても辛い体験で、誰の慰めの言葉も受け入れない状態でした。心がピタッときっちり閉じて、寸分の隙もなく、ずっと落ち込んでいる状態。誰にでも経験はありますね。だから、そのまま放っておきました。こういうときは、自分で光を見つけるしかないのです。
そんな状態が1ヶ月近く続いたとき、彼女から呼び出されました。「久しぶりに食事でもいかがですか?私がご馳走します」
こういうときはどんなに忙しくても時間を取ることにしています。年下のお友達でも、遠慮なくご馳走になります。

久しぶりに会った彼女は思ったよりも元気そうでした。どうにか少しずつ元気になりそうなこと。落ち込んでいても仕事はどんどん押し寄せてきて、自分の気持ちには関係なく結局は毎日それをこなさなければいけないこと。毎日寝ずに考えていた彼のことを最近は1日思い出さない日もあって、それに気づいてひとりで笑ってしまったこと。先日は後輩を怒鳴りつける元気も出てきたこと。

一生懸命話す彼女はその一生懸命さゆえ、まだ万全な状態ではないと思わせましたが、でも、間違いなく一皮剥けかけている感じでした。もう少しだね、焦らずにね、と言いたい感じ。そして、食事がデザートに差し掛かった頃、彼女が言ったのです。
「私、来週からやろうと決めたことがあるの。それは、お味噌汁のお出汁を取って、ジムに通うこと」
少々、面倒くさくてもお味噌汁は自分でお出汁を取る。そして、いままで誰に勧められても絶対に行かなかったジムに通って自分の体をもう一度見直してみる。それは、彼女の決意でした。私は、あ、いいなぁ、と思ったのです。

心が身体を引っ張ることがあります。その反対に身体が心を引っ張ることもあると思うのです。その事実に彼女はちゃんと気づいて、実行しようとしているんだなと思いました。あれから彼女はずっとお味噌汁のお出汁を取り続けているそうです。

「いままで顆粒のお出汁を使っていたけれど、自分で取る出汁がこんなに優しい美味しい味だって知ったら、止められませんよ」なんだそうです。もちろん、ジムのほうも週2日平均で頑張っています。後ろ姿がスッキリして立ち居振舞がエレガントになりました。

「インストラクターがとても明るい人で、つられて頑張っちゃう。体重はむしろ増えたけれど、元気になっているのが自分でもわかるの。あんなによく風邪をひいていたのに、ジムに通いはじめてから、一度も風邪を引いてないから」

とても、気持ちのいい話です。私も何か始めてみようと思いました。どんなに厳しい状況になっても、どんなに辛いインパクトが与えられても、身体が心を引っ張れるように。そんな健康な身体を作れるように。

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