先日、取材でお会いしたご夫婦は、おふたり一緒に翻訳をなさっているステキなご夫婦でした。結婚して20年近くとおしゃっていたでしょうか。共に相手の長所、短所をきちんとわかったうえで、お互いを尊重し合える距離感を保っているのが印象的でした。
ご夫婦の歴史をうかがう取材だったのですが、締めくくりに現在のお互いに対する想いを質問しました。すると、奥様は「とても自分勝手な人だと思う。相手の気持ちを考えようとすることがない」とおっしゃいました。仲睦まじい様子とはうって変わったその言葉にとまどっていると、その意見を引き受けるようにご主人がおっしゃいました。「そんなのは当たり前。人間は誰でも正しく自分勝手でなければいけないと、僕は思っています。自分がどれだけ自分を愛せるか。しいてはそれが彼女を愛することにもなるんです」と。
ハッとしました。漠然と自分勝手はいけない。つねに人の立場にたってものごとを考えなければいけないと考えてきましたが、果してそうなのでしょうか。誤解しないでほしいのは、ご主人がおっしゃったのは常に自分だけを考えるということではないのです。そうではなくて、いつも自分を愛せるスタンスに自分を置くこと。自分を好きだと思える状況、つまりそれはいつも機嫌がいいということではないでしょうか。
私はそこにある方程式を感じました。自分自身を振り返ったとき、自分が自分を好きで機嫌のいいときには、回りのこともあまり気にならないものです。たとえば近くにいる誰かがするちょっとしたことや、ちょっとした言葉(それが悪い印象のものでも)にも笑っていることができます。
そんな考え方をする人もいるんだなって。おまけに誰に対してもおおらかな優しい態度を取れるのです。逆に自分を嫌いで、不機嫌なときは、誰かのちょっとした言葉に異常に反応をしたりもします。少しの失礼な態度にも目くじらをたてて怒って、嫌な気分にもなります。
なるほどなと思いました。まずは自分をいい状態に置くこと。自分を好きになることが側にいる誰かとの距離を優しいものにしてくれるのではないでしょうか。そのご夫妻とお話をしてから、私は毎日、お風呂の中で自分の好きな部分(他人から見たらそうは思えなくても、自分自身でそう思う部分)をひとつ考えるようにしました。それは感じのいい作業です。
人間は誰でも正しく自分勝手でなければいけない。自分がどれだけ自分を愛せるか。それが回りを愛することにつながる。今ではその言葉は私の大切なメソッドです。あなたはどれだけ自分を愛せていますか?
自己嫌悪に陥りがちな人や、控えめにいつも自分を抑えている人は、自分を好きになる癖をつければいいのです。今日から1日ひとつ。どんなくだらないことでもいいから、自分の好きなところを思い浮かべてみてください。
きっと1週間後、1ヵ月後には、優しい気持ちになっているはずです。
シンプルスタイル Index
- 迷ったら、そのままそこに立ち止まる。
- 仕事のスイッチを完全オフに。
- ひとりぼっちは、最高の贅沢。
- 自分を愛することを知る。
- 夜寝る前に、深呼吸。
- あなたは本当に自分に不満ですか?
- 三ヶ月に1度、モノを整理する。
- ちょうどいい距離感がイイ友達。
- 月に2度はアナログに戻る。
- 必要以上に人に気を遣わない。
- 自分の仕事の半分を人に委ねる。
- とにかく眠る。
- あなたが買おうとしているモノ。それは、本当に必要なものですか?
- 魅惑のバーゲン。今シーズンだけ行かない勇気を持つ。
- 曜日ごとにスケジュールを決めてみる。
- キレイな家が住み心地がいいとは限らない
- 忘れてしまったことは、忘れていいこと。
- 素顔で外出できる自分を取り戻そう。
- お味噌汁のお出汁をちゃんと取って、ジムに通う。
- 100%の完成度がすべてのことに必要?