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金属がハーブの色をだす
ハーブには、古くから染料として使われてきたものが多くあります。学名にチンクトリア(tinctoria)とついたものは伝統的な染料植物です。特に代表的なものが、アルカネット、ダイヤーズカミツレ、ホソバタイセイなどです。
染料になるハーブは花、葉、根などに色の素になる、フラボン、タンニンなどのフェノール性の成分を豊富に含んでいるのが特徴です。これらの成分は金属のイオンと結合して、様々な色に変化します。この金属を含んだのもを媒染剤といいますが、草木を燃やしてできた灰には、金属が豊富に含まれ媒染剤として利用できます。植物によつて金属の種類と量が違うため、発色が微妙に違ってきます。また、金属を含んだ泥や、鉄や銅などを酸で溶かし、その上澄み溶液を使うこともできます。
ハーブ染色の魅力
18世紀ごろから、化学工業の発展により、合成の染料が発明されて、天然色素がほとんど使われなくなりました。合成の染料は色が鮮明で、着色力が強い上に退色も少ないのが特徴です。天然素材を使うハーブ染色は、合成染料のように、鮮やかな色をだすには向いてませんが、ハーブに含まれる成分は、複数で合成染料にない微妙な色合いをかもしだします。ハーブの収穫時期は栽培した土地などによって、色合いが微妙に変わります。それだけに、ハーブ染色の色は他にない、自分だけの色となるのが魅力です。ハーブ染色は、仕上がりるまでは、どんな色が出るのか分からないので、仕上がりにはときめきを覚えます。
ノコギリソウでの染色実例
材料- 絹生地(被染色物)1m2 3 枚
- セイヨウノコギリソウの花 乾燥物(黄色花) 100グラム
- ミョウバン 2グラム
- セイヨウノコギリソウを約3リットルの水で30分煮て、布で濾して染色液とする。
- この液に水に浸しておいた布地を入れ、30分間弱火で煮ながら、斑ができないように箸などで染色液のなかで布地を広げる。
- 液を冷まし、水洗してから脱水する。媒染剤を1.5リットルの水に溶かし、この液に染色した布地を20分間浸し、水洗いしてから乾燥する。媒染剤をクロムや銅に代えると発色が変化する。
染色に使うハーブ | |||
植物名 | 利用部位 | 媒染剤 | 色 |
ローズマリー(シソ科) | 生全草 | アルミニウム | 黄緑 |
オレガノ(シソ科) | 乾燥葉 | 銅、鉄、アルミニウム | 茶 |
セージ(シソ科) | 乾燥全草 | 鉄、クロム、アルミニウム | 黄、緑青 |
タンジー(キク科) | 乾燥花 | アルミニウム | 緑黄 |
チコリ(キク科) | 葉、茎 | アルミニウム | |
セイヨウノコギリソウ (黄)(キク科) |
乾燥花 | 銅、クロム、アルミニウム | 黄、黄緑 |
アルカネット(ムラサキ科) | 根 | アルコール抽出 | 紫 |
ウッドラフ(アカネ科) | 乾燥葉 | 銅 | ベージュ系 |
オニオン(ユリ科) | 外皮 | 銅、鉄、アルミニウム | 黄、茶 |
ベニバナ(キク科) | 花 | アルミニウム | 黄 |
ダイヤーズカモミール (キク科) |
乾燥花 | 銅 | 黄 |
エニシダ(マメ科) | 生全草 | アルミニウム、銅 | 緑、黄 |
ホソバタイセイ (アブラナ科) |
生葉、根 | なし | 青 |
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