「わかめとたけのこ」理にかなった春の味覚

初春に採れる食材の出会いの一品料理として、新わかめとたけのこを使った若竹煮は、季節感あふれる日本独自の食べ合わせ料理です。若竹煮の味の本質は、ゆでたたけのこのシャキシャキした歯ごたえと、取れたてのわかめのヌルッとした舌ざわりがもたらす微妙な食感の調和と言えますが、最近ではトリ肉や野菜を加味したものも出回っています。

栄養学的に見ると、たけのこは食物繊維とカリウムが豊富な食品で100g中、食物繊維が2.8g、カリウムが520mg含まれています。また、わかめは食物繊維が3.6g、カリウムが730mg、カルシウムが100mg、マグネシウムが110mgとミネラルが豊富に含まれています。両者の食物繊維を比較してみると、たけのこはほとんど水に溶けない不溶性セルローズであり、わかめは水に溶けるアルギン酸です。どちらの繊維も便秘やコレステロールの排出に効果が有りますが、便秘症ではけいれん性(ころころした便が出る)の場合に限って水溶性繊維が良いとされています。

わかめには、のりほどではありませんが、カロチンも含まれています。しかもカロチン以外にフコキサンチンという特殊なカロチノイドも含まれており、この物質は、最近の研究によると、動物の細胞にたまった脂肪を燃やして減らす効果があると考えられています。

たけのこの切り口によく白い粉の様なものを見受けますが、これはチロシンというアミノ酸の一種で、水に比較的溶けづらい物質です。チロシンは、生体内ではホルモンのアドレナリンやチロキシンの材料となり、またドーパミンという脳内の神経伝達物質の材料にもなります。チロキシンは甲状腺ホルモンのことで、わかめに含まれるヨードとチロシンとの合成によって生成されます。その意味では、若竹煮は生理学的にも理にかなった食べ合わせ料理といえます。

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