栄養バランス良く、スタミナあふれる健康食

ジンギスカンとは、モンゴル帝国の英雄成吉思汗のことであることは、誰でも知っているが、これが羊肉料理の名前につけられたいきさつについてはあまり良く知られていない。北海道においては、特殊な形をした鉄鍋で羊肉を焼く料理として、広く普及した料理であるが、誰がいつ頃そのような名前をつけたかははっきりしていない。おそらくモンゴル地方で羊肉のバーベキューが盛んなのに加えて、羊群が放牧されている北海道の雄大な風景をイメージして、野趣あふれるこの料理名にふさわしいと思いついたのではないかと考えられる。

羊肉は、生後一年以上の成羊肉をマトンといい、生後一年未満の仔羊肉をラムという。ジンギスカンに用いられる羊肉はマトンでも良いが、最近はクセの無いラムのロース肉が主流となっている。薄切肉をドーム型をした鉄製鍋の上で焼き、これに独特のタレ(漬け汁)につけて食べる。あるいは、予め漬け汁に浸して味付けした羊肉を焼いて食べる。タレは市販品もあるが、料理店では独自に作製したタレを用意している。
羊肉を焼くと、焼き汁がしたたり落ちて、炭火からもうもうたる白煙が上がり、その上羊肉独特の匂いが発散するので、家屋内で料理するよりは屋外の野外料理に適している。

ジンギスカンは羊肉と野菜の食べ合わせ料理である。羊肉は、ラムをのぞくと、脂肪分が多く、しかもその融合点が比較的高いので、冷めると白く固まりやすいのである。この性質は、体内に入っても吸収されにくく、肥満やコレステロールをあまり気にしないですむいう特徴を示している。そして、脂肪中のカプリル酸という脂肪酸が比較的多いため、羊肉独特の匂いを持っている。

ジンギスカン鍋はこの脂肪分をなるべく冷やさないようにする性質があり、脂肪分は鍋の線条を伝わって鍋縁に溜まるので、そこにいろいろな旬の野菜(ジャガイモ・カボチャ・長ネギ・キャベツ・タマネギ・モヤシ・ビーマンなど)を置いて焼いて一緒に食べるのである。 羊肉は必須アミノ酸を十分含むタンパク質から成り、またカルニチンも多いので、エネルギー効率も良く、体を温める作用あり、女性や冷え性の人にすすめられる。野菜の栄養素もバランス良く摂ることができるので、スタミナあふれる健康食と言える。

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