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38.王肯堂(おうこうどう)—王肯堂

王肯堂
王肯堂(おうこうどう)  1549~1613

研究に専念「良相に為るを得ず、良医に為ることを願う」

生卒年が「?」付きながらも出てきたということは、そろそろ実在した特定の人物と考えていい人のようです。華佗の名はいろいろの古典に見えますが、別名は標(ほ)、字(あざな)は元化。後漢の沛(はい)国(今の江蘇省沛県)の人。生卒年からみると、漢方医の中ではもっとも有名な張仲景と同時代の人です。

若くして医に長じ、曹操(後の魏の武帝)の頭痛をハリ治療一回で全治せしめた。後年、曹操は彼の医術を独占しようと、侍医に採用しようとするが、華佗は妻の病気を口実に故郷へ帰り、曹操の招きに応じなかったので、怒りをかい、刑死しました。

華佗の最も有名なエピソードは外科手術です。「疾病が内に結し、針や薬が届かないものには、酒で麻沸散を飲み下し、酔って感覚がなくなったところで、腹を切開し、積聚(しゃくじゅう)を除去する。それが腸胃にあるときには、切り取って洗い、疾悪を除去した後に縫合し、神膏を塗る。4、5日で創がなおり、1ヵ月でもとに回復する」(「三国志」華佗伝)。
このことから、華佗はこの頃に、全身麻酔で腹部の腫瘤切除、胃や腸の接合などの手術に成功していた、といえます。医案(症例集)もあるので、この全身麻酔下の開腹手術を嘘だとは決めつけられません。

外科手術は、伝統的な病気観とは異なる次元で拡大していく「技術」の要素が強いですから、華佗(実はペルシャ人だという説もある)の名は、インドや中近東からシルクロードを伝わって、中国にもたらされた外来技術のシンボルだという説もあります。いずれにせよ、洋の東西を問わず、その後永く外科手術は発展することなく、医学の中心とならなかったことは、興味あることです。

寄生虫病の治療を得意とする

華佗は、ほかに婦人科や内科のいろいろな病気にも独自の境地をもち、特に寄生虫病の治療を得意とし、なま煮えの「腥(なまぐさ)物(もの)」を食べることが、寄生虫病にかかる主な原因であることを発見しました。また医療体操を発明しています。虎・鹿・熊・猿・鳥の動作をまねるという、その「五禽戯(ごきんぎ)」は、中国最初の系統的な体操といわれ、「開き戸の支えは虫に喰われない」という発想に、常に運動することの重要性をたとえ、後世に大きな影響を与えています。

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神農   しんのう   伝説の漢方医学の始祖  
扁鵲   へんじゃく   ハリ治療の始祖  
華佗   かだ   全身麻酔で外科手術を施す  
張仲景   ちょうちゅうけい   「傷寒雑病論」を著す  
王叔和   おうしゅくか   自らの脈論も併せて「脈経」を撰す  
皇甫謐   こうほひつ   針灸の必読書「甲乙経」を著す  
葛洪   かつこう   伝染病の研究大家  
陶弘景   とうこうけい   「神農本草経」の科学的整理  
巣元方   そうげんほう   「諸病源候論」を著す  
孫思襞   そんしばく   民間経験方を収集  
王翻   おうとう   「外台秘要」全40巻を編纂  
王閃   おうひょう   「黄帝内経」を整理  
丹波康頼   たんばのやすより   日本最古の医書「医心方」を編む  
王惟一   おういいつ   針灸術の発展に多大な貢献  
銭乙   せんいつ   小児科の開祖  
唐慎微   とうしんび   「経史証類備急本草」を著す  
成無已   せいむい   現存する最古の「傷寒論」全注本  
劉完素   りゅうかんそ   研究に没頭の「高尚先生」  
張元素   ちょうげんそ   易水学派の創始者  
張従正   ちょうじゅせい   攻邪に重きをおく  
李杲   りこう   「補中益気湯」を創方  
陳言   ちんげん   内・外・不内外、三因方を提唱  
陳自明   ちんじめい   「婦人良方大全」を完成  
厳用和   げんようわ   臨床経験を活かす  
王好古   おうこうこ   帰経と引経の新機軸  
朱丹渓   しゅたんけい   金元医学の集大成者  
戴思恭   たいしきょう   明の洪武帝の寵愛を受ける  
滑寿   かつじゅ   現在も使うツボ常用十四経  
王履   おうり   文芸にも優れる  
虞摶   ぐたん   最古の器具使用浣腸  
王綸   おうりん   医家の保守性を警告  
汪機   おうき   人参・黄包の運用に熟達  
薛己   せつき   「正体類要」を著す  
李時珍   りじちん   「本草綱目」に生涯を捧げる  
搜廷賢   きょうていけん   江戸時代のベストセラー  
方有執   ほうゆうしつ   病苦を克し大成  
繆希雍   びゅうきよう   英雄「神医安道全」  
王肯堂   おうこうどう   書物を著わすことに専念  
呉昆   ごこん   理論面の造詣に深く  
陳実功   ちんじつこう   中医の外科学を集大成  
張介賓   ちょうかいひん   30年を費やし「類経」32巻完成