33.薛己(せつき)—「正体類要」を著す

薛己
薛己(せつき)  1486?~1558?

骨傷科(整形外科)の専門書「正体類要」

薛己、字(あざな)は新甫、号は立斎、呉県(今の蘇州)の人。明の成化23年(1486)に生まれ、嘉靖37年(1558)に72歳で亡くなったと伝えられます。

父の薛鎧(がい)も名医で、小児科を得意とし、太医院医士に招かれて「保嬰撮要」八巻を著わしました。薛己は父の跡を継いで医術に励み、各科に通暁しましたが、特に瘍科に深い見識を持っていました。正徳年間(1506~1520)に御医に選ばれ、明の武帝に仕えて湯薬を奉じました。以後、南京太医院判にも任ぜられ、嘉靖年間(1522~1565)には医使に昇格しますが、ほどなくして辞職し、郷里に帰って著述に専念しました。

著作はたいへん多く、「内科適要」「外科発揮」「保嬰撮要」などがあります。また、王綸の「明医雑著」、陳自明の「外科精要」「婦人良方大全」、銭乙の「小児薬証直訣」などに注釈をつけ、滑寿の「難経本義」「十四経発揮」、朱震亨の「平治枅萃(へいちわいすい)」などを校勘しました。これらは後に「薛氏医案二十四種」にまとめられ、明の万暦年間に刊行されています。

薛己の医学は脾腎のふたつに重点を置くもので、「補中益気」を重視し、四君子・六君子などを用いて脾気を補い、六味丸・八味丸などを用いて腎精を補っています。全体的には「温補」に偏り、「寒涼」を用いることには慎重で、「李東垣に劣らず脾胃を重視し、朱丹渓と同じく腎陽を重視した」と言われています。「内科適要」には202案が記されていますが、その多くは脾気の不足と脾胃(あるいは脾腎)の欠損に関する案です。

瘍科(外科)では、「腫瘍がもりあがって表面がズキズキし、脈が浮く場合は、邪が表にあるので、上から押さえるとよろしい。腫瘍が硬く深いところでジンジン痛み、脈が沈む場合は、邪が内にあるので、腹中から下すのがよろしい」といい、「もし瘡傷が痛まず膿もない場合は、潰れないうちに温補する。もし瘡傷が潰れて膿がひかず、いつまでも痛みが止まらない場合は、清涼の剤で治療するのがいい」と主張しました。おできに対処するとき、役立つかもしれません。

「正体類要」は骨傷科(整形外科)の専門書で、整骨の基本手法19条と外傷医案65則、傷科方剤71が詳しく論じられ、たいへん実用的です。

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