1.神農(しんのう)—27年間を費やし「本草綱目」を完成
神農(しんのう) 年代不明
「神農本草経」(しんのうほんぞうきょう)に名を冠す
伝説の人物。「三皇」のひとり。
神農は農業と医学の創始者と伝えられていて、古代の書物には彼が医薬を初めて行ったというような記載があります。
「淮南子」修務訓に「神農は百種類もの草の効用や味、川や泉の水を味見して、避けるべきものと役に立つものとを人々に分かるようにしたが、一日のうちに七十もの毒に当たった」とあり、神農の毒味と医薬の始まりについての伝説は、これが源となっています。
ちょうど皆さんが飼っている犬や猫が下痢したりすると、いつもは見向きもしない庭の草を食べることがあるでしょう。あれと同じことのくりかえしから私達の祖先も薬を発見していったのです。
そして、今から約二千年前、漢の時代に「神農本草経」(しんのうほんぞうきょう)という神農の名を冠した薬物書が成立しました。
これには植物を中心に動物・鉱物も加えて、約360種の薬が記載されています。どうして360種が取り上げられたかは考えてみて下さい。
(ついでに皆さんハリや灸で御存知の「ツボ」の数も約360です)
360種の薬は、病気のときだけでなく健康増進に役立つため、常用してよい上品120種、とても薬理作用の強い薬だから、病気の重いときだけしか服用してはいけない下品120種、その中間の中品120種の三つに分類されています。
こうした分類は、同時代に成立している西洋のギリシャの薬物書などと比較すると、際だって優れた特徴であり、薬の利用の仕方が実に巧みです。
漢方医学の始祖である「神農たち」は、文字通り薬を自家薬籠中のものにしていたようです。
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