40.陳実功(ちんじつこう)—中医の外科学を集大成
陳実功(ちんじつこう) 1555~1636
「外科正宗」四巻で中医の外科学を集大成
陳実功、字(あざな)は毓(いく)仁(じん)、号は若虚、崇川(今の江蘇省南通市)の人。嘉靖34年(1555)生まれ、崇禎9年(1636)卒。享年81歳。明代末期から清代初期に生きた人です。
幼いころに儒家の経典を学び、刀針の術を授けられて医学に励み、数十年の理論研究と臨床実験を経て著名な外科医に大成しました。
従来の外科の著作は内治に偏って、外治の重要性をしばしば看過していると考え、外治方面の研究に力を入れました。膿管を開いて毒邪を外に出すのが肝心と考え、しばしば腐蝕薬品や刀・針を用いて壊死した組織を除去し、薬物で煮た竹筒を膿管に刺して膿液を吸い出す方法も用いました。また骨折や気管の縫合、瘤の切除、脱臼の復位などの外科手術も行ないました。
ただし原則もなしに刀針を乱用し、内治を全く否定したわけではありません。脾胃と飲食・栄養の関係に注目しました。脾胃は人体の気血を養う源で、脾胃が強ければ飲食が進み栄養がついて回復を助けるが、脾胃が弱いと病気に対する抵抗力が落ちて、傷口もなかなか塞がらず、回復が遅れると考えました。
万暦45年(1617)、63歳の時に「外科正宗」四巻を著わし、中医の外科学を集大成しました。巻一は外科の疾病の病因・診断・治療を論じ、巻二から巻四は典型的な外科疾病の病理・症例・治療法を紹介しています。図も30ほど付して疾病の部位と形状を分かりやすく解説しています。
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