香りの生理作用
アロマテラピーの原理は、アロマテラピーを知らない人や、やったことがないと言う人でも、実は皆さん身近に体験しているのです。ヒントは「クンクン。あーいい匂い!お腹がすいてきちゃった」です。
植物の香りが人に何らかの作用与える事を知り、有効に用いてきたのは、古代文明の時代からです。この用い方の一部を現代に置き換えて、わかりやすく説明すると・・・男性からプレゼントされたバラの花束を前にして耳元で口説かれたら、悪い気はしない女性が多いはず。
「色気より食い気」の方には・・・夕刻になると各家庭の換気扇から漂ってくる、ニンニクやタマネギを炒めている匂いや「この家の夕食はカレーね」とすぐにわかる匂い、これを嗅ぎながら帰宅した頃にはすっかりお腹がすいているなんて経験ありますよね。
これがアロマテラピーの源です。バラの香りには、女性の情緒やホルモンのバランスと取り、安定させる作用や催淫作用があります。また料理に使われる香辛料などは、腐敗防止だけでなく消化器官の活性化させる作用があります。
鼻で感じた「香り」「匂い」「臭い」の分子は、鼻の上部にある臭覚神経で信号に変換され脳下垂体(脳下垂体は自立神経系や内分泌系、免疫系を統括している)へと伝達されるようになっています。ですから例にあげたバラや美味しいそうな香り、森林やエッセンシャルオイル等々の香りの信号が脳下垂体に伝達されると、それぞれに対応した生理活性物質が分泌されるわけです。「美味しそうな匂いを嗅ぐと、よだれが出る」生理現象はこんな経路をたどって起こるのです。
さてアロマテラピーとは、エッセンシャルオイルを用いて行うものです。エッセンシャルオイルの利点は、その原料となる薬用植物の作用はもちろんのことですが、その植物の芳香物質を取り出したエッセンシャルオイルは濃縮で、(少量で作用する)分子が細かく体内に吸収されやすいからです。エッセンシャルオイルが人に作用する方法として、先程あげた「鼻~脳~体」という神経系の経路の他、「皮膚吸収や口鼻呼吸~血液やリンパ液~体内」という循環器系の経路があります。分子が大きければ、体内に入り込むことができません。
また専門家の指導のもとに飲用する方法もありますが、今の日本の現状では禁止説を取る専門家が多いです。エッセンシャルオイルは大変揮発性が高く香りが広がりやすいという特徴をもっていますから、空間の環境改善の為のアロマテラピーにも適しています。