24.カカオ 56.ごとうし(梧桐子・青桐) 65.コーラ —アオギリ科の植物3題—

カカオ

中南米原産のカカオは、広く熱帯で栽培され、年間を通じて開花するが結実するものは200~300花に1個。果実は紡錘形で、長さ15~20cm、径7cm。表面に縦溝があり熟すと赤みをおびる。内部は5室に分かれ、長さ2.5cm・幅1.5cmほどの卵形の種子が20~50個つまっています。

この種子を発酵させると独特の香気と紅色をおび、乾燥したものがカカオ豆。焙煎して種皮を去り粉末にして、砂糖・ ミルク・ 香料などを加えて押し固めたものがチョコレート。粉末を圧搾して脂肪を除いたものがココア。得られた油はカカオバターで、マーガリン・ポマード・医薬品に用いられます。

中南米のマヤ・アステカ文化圏では、紀元前から栽培され、この種子をトウモロコシの種子とともに砕いて水で煮て、トウガラシを加えて飲んでいました。マヤ語ではこの植物をカカウアトルと称し、カカオの由来。またアステカ語でこの飲物をチョコラトルと呼び、チョコレートの由来。18世紀からヨーロッパに普及し、日本へは大正時代に渡来しました。

コーラ

同じアオギリ科の常緑高木でカカオと同様に有名なのがコーラです。アオギリ科コラノキ属のコーラの花は周年開花し、果実は花柄に放射線状に4~5個つき、中に5~9個の種子があります。種子はコラナッツと呼ばれ、カフェインを2~2.5%含むので、生でかむと興奮と活気を覚えます。
古くからアフリカ人が乾燥した種子を粉にして水に溶かし、砂糖・蜂蜜・ミルクなどを加えて飲用してきました。このエキスを利用した飲料がコカ・コーラ。西アフリカ地方の主要産物の一つとして乾燥種子が輸出されています。

梧桐(あおぎり)

梧桐(あおぎり)はアオギリ科の落葉高木で高さ10~15m、直径30~60cmになる。幹はまっすぐに伸び、枝が一ヵ所から輪状に出るので生長すると階段状になります。葉は長さ10~30cmの長い葉柄をもち、葉身は直径15~30cmと大型です。

アオギリには葉裏が有毛のものと無毛のものがあり、前者を狭義のアオギリ、後者を毛無しアオギリといいます。日本に本来自生しているのはケナシアオギリで、伊豆半島・紀伊半島・四国・九州・沖縄の沿海地に生育し、さらに台湾・中国・インドシナなどに広く分布する。狭義のアオギリは中国原産で、生長が早く丈夫なため公園、街路樹としてよく植えられます。

6~7月ごろ小さい雄花と雌花が混生して咲く。果実は袋果。成熟前に開裂して、その各片は長さ7~10cmの舟形中に直径約6mmの球形の種子を数個ずつ入れる。これが漢方生薬の「梧桐子」です。
この種子はタンパク質や脂肪に富み、炒って食べられるが、生薬としてはカフェインを含み健胃消化剤に用いられます。樹皮も粘性物質が和紙糊料になるが、生薬「梧桐皮」として外傷などの湿布に用いられます。

生薬としてはあまり用いられない梧桐子が有名なのは、その大きさと丸い形が、人が服用するのにちょうど適していたからで、八味丸など漢方丸剤の大きさの基準とされてきたからです。数味の生薬を粉末にして蜂蜜などで「梧桐子の大きさに製丸する」という記載が古典に多い。