133.竜眼肉(リュウガンニク・桂円肉・桂元)—いらいらとして、眠れなかったりするときの薬に—

ライチとそっくり

竜眼肉

ムクロジ科の常緑樹「龍眼」の果実。
原産地は,中国南部からインドにわたる地域のいずれかといわれています。「後漢書」にはすでに、単于への貢ぎ物として「竜眼茘枝」とありますから、2000年前には栽培されていたことがわかります。

現在でも亜熱帯果樹として、中国南部、台湾、インドなど、日本でも鹿児島、沖縄、八丈島などで栽培されています。

樹高は10mに達し、花は直径6mmほど、花弁は黄白色。果実は径2~3cm、1個5gほどで、10~20個が集まり房状に実ります。皮は淡褐色でやや硬く、果皮というよりは殻のようです。暗褐色の大きな種子を包んだ、乳白色でブドウに似ているがそれより硬く、コリッとした特有の風味があるところ、これが可食部、仮種皮といわれる果肉です。

ここまで書けばおわかりのように同じムクロジ科の果実、かの楊貴妃御用達の茘枝(レイシ・ライチ)とそっくりなのです。やや味が劣るからでしょうか、茘枝に対してこちらは「茘枝奴」と呼ばれます。

「参茸補血丸」などに配合

福建の「桂元」という若者が悪さをする竜を退治して竜の眼をえぐり取ったが、彼も傷つき死亡した。そこで、えぐり取った竜の両眼を彼の墓にいっしょに葬ると、2本の大木が生え実をならせたので、この実を竜眼というようになった。だから桂元、桂円とも呼ぶ、という伝説があります。或は暗褐色の大きな種子が竜の眼のようだとも。

果肉はアデニン、コリンを含む高栄養食品であり、強壮剤・鎮静剤としても有名です。乾燥させた果肉は漢方では、血を補い、神を安定させる、つまり虚労病で、精神だけがいらいらとして、眠れなかったりするときの薬に使われ、帰脾湯や、中国みやげによく買う「参茸補血丸」などに配合されます。食用には、生食、乾果用それぞれに品種があるそうですが、砂糖漬・缶詰などもあります。