世界各地で食用に
もともと熱帯地方の原産種。世界各地で広く栽培され、日本でも二千年以上前から栽培されていたらしい。「魏志倭人伝」にも登場しています。西洋でも古くからジンジャーといい、ジンジャーエールのような飲料として使われ、また胃腸のクスリとしても用いられてきました。熱帯インドでは、ミルクティーにシナモンや生姜汁を入れたチャイが有名、おいしーい。みやげ屋に売ってますが、あれは畑をブルで深く掘りかえして作る栽培ものです。
春に種屋さんから買ってきた、そのまま食べられるひね生姜を適当な大きさに割って植えておきます。八百屋さんのひね生姜でも発芽する場合もありますが、発芽率はわるい。夏には、先端のとがった細い葉がピンピンと上むきに勢いよく張っている姿を見ることができます。ミョウガとそっくり。
秋のはやいうち、地上部が枯れないうちに掘りあげると、不規則にモクモクと横走している根茎から4~5本地上茎がでているのがわかります。
茎の数に切りわけてそのまま食卓へ。味噌や甘酢でたべるのが葉ジョーガ。寿司屋では通称ガリですね。
晩秋から冬、地上部が枯れたころ掘り出すのがヒネショーガで、魚の煮物、特に鰯や鯖などひかりものの煮つけには不可欠。千切りにしてニンニクと共に中華料理の基礎的風味。すり下ろして冷や奴やカツオの刺身に。
甘酒に生姜汁は欠かせないし、風邪をひくと葛湯(クズ湯)に生姜汁、これくらいになると食品イコール薬のニュアンスが高まります。
様々な処方
漢方薬としての生姜はあまりに沢山の処方に組み込まれているので、昔の中国でもずいぶん入手しやすかった、と想像されます。現在でも煎じくすりに使う生姜は、乾燥した市場品よりも近くのスーパーで買ってきて一切れ入れた方がよいようです。あまりにいろいろな処方に入っているので効能を一口で言うのは難しいですが、風邪くすり、胃くすり、漢方的に言うと上半身の水の滞りをさばくといえます。それから漢方薬の処方それ自体の刺激をマイルドにしたり味をよくしたりして服用しやすくする働きも当然あります。
加熱してカチカチにしたものは乾姜(カンショー)といって生姜とは大分効能が異なり、附子(ブシ)と共によく使われて身体の冷えを暖める作用が強力です。
ギリシャ時代にはシードばかりではなく、葉や根もしぼったり、煎じたりして、目薬やヘビやイヌの咬傷にも使われていました。